【ブギウギ】週ごとに色味をくるくる変える本作。絶望の中立ち上がるスズ子という、壮絶だった前週に比べ、恋愛パートに駆け足
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田幸和歌子
スズ子が愛助の部屋を強引に片付けることにもモヤモヤするし、いつの間にかアホのおっちゃん(岡部たかし)とアサ(楠見薫)が結婚していたという描写も、お節介焼きのツヤ(水川あさみ)が亡くなり、梅吉(柳葉敏郎)も去ったはな湯で、ゴンベエ(宇野祥平)夫婦に寄生するわけにはいかない状況をイージーに解決させる手段に見えかねない。
もちろん2人の結婚に驚き、シンプルに祝福する善良な視聴者たちの声もSNSには大量にある。にもかかわらず、「アホのおっちゃんは、カネも稼いでくれて身の回りの世話をしてくれる将来の介護要員をうまく見つけたんだろうか」などと考えてしまうのは、我ながら性格が悪いとは思うのだが。
パフォーマンスを何よりも重要視し、そこに手間も情熱も最大限に使っているのは、本作の非常に素晴らしいところだ。しかし、山場を越えたときこそ、いろいろな緩みが出て、作り手たちの根底にある価値観が露呈するときでもある。今週は特に「男性が作る朝ドラってこうだよな」ということを感じてしまう箇所が随所に見えた週だった。
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