私らしく生きる 50代からの大人世代へ

人気記事ランキング 連載・特集

【ブギウギ】ライバルキャラとしての描写は激アツ!りつ子(菊地凛子)はスズ子(趣里)の最大のファンであるかに見える

公開日

更新日

田幸和歌子

「ブギウギ」第101回より(C)NHK

鮫島の誘導で、りつ子に「ブギは終わり」と言われたことに反発し、羽鳥もそろそろ別の曲調の新曲を提案するが、スズ子はあくまでもブギを歌いたいと主張する。しかし、りつ子のブギは終わりという言葉に、「その喧嘩、買おうじゃないか」と触発されアイデアがひらめく。

羽鳥が曲を作り始めたと知り、鮫島に向かって「目障りよ、消えなさい」と言い放ち、スズ子の家を訪れ対談の非をわびるりつ子。そういう強い正義をもつ部分も含め、ひたすら人気キャラの要素をもつ登場人物だ。そしてその言葉に絶句して負け惜しみのような言葉を吐き捨てて去っていく鮫島の小物感も見逃せないポイントだ。

こうして出来上がったのが「ヘイヘイブギー」。驚いたのは、この「ヘイヘイブギー」もまた、これまでのように金曜放送回の終盤にステージで華麗にパフォーマンスを披露するものと思っていたら、愛子に子守唄のようにこの歌を聞かせたことだ。これまでのようにステージで激しく歌って踊るのではなく、穏やかなトーンで最愛の娘に歌いかけるという、「外す」演出の見事さ。

羽鳥は「恋の歌」としてこの曲を作ったが、スズ子は「これはあんたとママの歌やで」と微笑みかける。親子の愛の歌として歌いかけるスズ子。「元気が出る」方向とはまた違う活かし方は、スズ子がまた歌手として新たな武器を手に入れ、違うステージに行ったことを思わせる。

スズ子とりつ子の思い、置かれる状況がそれぞれ大きく掘り下げられ、そこに棚橋の映画、鮫島のゴシップ、羽鳥の新曲と、情報量の多い週だったかもしれない。それを「散漫」と感じたり、そもそも鮫島のゲスさが無理と感じたりした視聴者もいたようだが、詰め込まれた情報の濃密さは突出した週だったのではないだろうか。

「あんたが笑えば、私も笑う」、愛子が朗らかに笑ってくれることが、スズ子の生きる力となる。

さて次週、「ワテ」を主語とする関西弁ブギが、いよいよ登場する。

PICK UP 編集部ピックアップ