【光る君へ】紫式部(吉高由里子)の藤原道長(柄本佑)への想いはいかに? 続々登場する「イケメン」にも注目
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志賀佳織
そして第8回。花山天皇一派と右大臣たちの対立はますます激化していくなか、とうとう右大臣・兼家が病に倒れてしまう。
意識不明の状態が続き、東三条殿に安倍晴明が呼ばれ祈祷が行われる。その最中に寄坐(よりまし/祈祷で神霊を乗り移らせる子どもや人形)に突如、霊魂が降りてくる。聞けば忯子の霊だという。寄坐は「子を返せ」と叫ぶと兼家につかみかかる。
ある日、書庫で書物の整理をしているまひろの父・藤原為時(岸谷五朗)のもとを、道兼が訪れる。道兼の腕にあざを認めた為時が尋ねると、前夜正気づいた父に打たれたという。「小さいときから、父にかわいがられた覚えはない。いつも殴られたり、蹴られたりしておった」という衝撃の告白に、為時は言葉を失う。
「自分はどこへ行っても嫌われるのだ」という道兼。花山天皇にも疎まれるが、あるとき彼を追い払おうとする天皇に、為時が「道兼様は右大臣様に疎まれております」と告げる。右大臣を嫌う天皇が道兼を呼び戻しその腕を確認すると、あざだらけだった。右大臣憎さが高じて途端に道兼に同情を寄せる天皇。
そんな為時には心を許せるのか、道兼はその数日後、為時と酒を飲みたいといって、為時の屋敷を訪れる。そこへ、帰ってきたまひろが遭遇する。思いがけないことに動揺するまひろ。しかし、おびえる必要はないと道兼の前に出て、琵琶の演奏でもてなす。
その演奏に感激した道兼は「誰に習ったのか」と尋ねる。母と答えるまひろに、重ねてこうも聞くのだ。「母御(ははご)はいかがされた?」。7年前に亡くなったと耐えながら答えるまひろに、さらなる質問が続く。「それは気の毒であったな、ご病気か」。まひろは答える。「はい」
母を殺めた道兼は、まひろにとって生涯許せない相手であり、物語としても「ヒール」の役目に違いないのだけれども、そのヒールにも、ヒールになるだけの理由や背景があったのだと大石の脚本は描く。道兼の人間的な内面も垣間見えて、これもやはり紫式部の作家としての人生に色を加えていく出来事なのだと改めて感じた。
よいドラマ、よい物語というのは、どんな脇役にも人生があると手を抜かずに感じさせ、納得させる術を持つ。いやさすが、「光る君へ」。ますます侮れなくなってきた。
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