26年ぶりに映画で主演を務めた岩城滉一さん「“老い” “妻への愛”、役に共感しながら演じました」
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ゆうゆう編集部
衰えぬチャレンジ精神。 再びカーレースに参戦
『ラストターン』の健二は、シニア向けのコミュニティクラブに参加し、同年代の橋本と友好を深め、橋本に誘われて水泳教室に参加する。全く泳げなかった健二は水泳という新たな挑戦と、周囲の人々との心のふれ合いを通して、人生の輝きを取り戻していく。
「何歳になってもね、どんな状況にあっても、一日一日を楽しくしっかりと生きていくことは大切だと思うんです。この映画は特に同世代の方々に観ていただきたいなぁ」
1980年からカーレースに参戦してきた岩城さん。近年はレーシングチームの監督業や若手選手の支援に力を注いできたが、健二のように、岩城さん自身も今まさに挑戦しようとしていることがある。
「レーサーとしては65歳のとき優勝して引退しました。でも、今年また参戦することにしたんです」
73歳。岩城さんのチャレンジ魂を突き動かしたものは何だったのか。
「僕の参戦を望んでくれる人たちがいるからです。昔F1がはやった頃は、どこのレース場もお客さんでいっぱいだったでしょ。でも今は見に来てくださる人も少ない。そのうえ、僕らが出場していたときより、同じカテゴリーのレースでも優勝タイムが落ちているんです。車の性能が上がっているにもかかわらず。それで『岩城さん、また走ってくださいよ、待っているファンがいますから』と声がかかったわけです。ありがたいよね。僕は俳優の仕事でも何でもそうなんだけど、喜んでくれる人のために、やってやろう!と思うタイプ。73歳の岩城が出場したら、他のレーサーは『負けられないぞ』って奮起するでしょうしね」
8年ぶりのレースに向け、体力づくりに励んでいるかと思いきや―。
「いや、何も準備していない(笑)。準備万端整えてから挑戦しよう、なんて思っている人は結局何もトライできないんですよ。まずトライしてみる。レースに出なければ何も始まらない。どう鍛えるか、何をすべきかを考えるのは、そのあとでいい」
岩城さんらしいセオリーだ。
「僕はあまり健康管理もしていなくてね。実は4年前に撮影で雪山に行き、肺炎になって入院したんです。回復して、こうして元気でいるわけですが、その後も特に節制はしていません。たばこも吸うし、お酒も飲む、好きだからね。目いっぱい好きなことをして、ピンピンコロリが理想。だから延命治療は勘弁してくれと終活ノートにも書いてあります。その時がきたら、じたばたせず、笑って死ぬ。そうありたい」
岩城さん夫婦は、寝るとき「おやすみなさい」とは言わないそうだ。
「『明日ね』って眠りにつく。翌朝、二人とも目を覚まして、また会えるって幸せなことだよね」
INFORMATION
『ラストターン 福山健二71歳、二度目の青春』
認知症の妻(宮崎美子)を看取って、空虚な日々を過ごす福山健二(岩城滉一)。自身のもの忘れに不安を覚え、市のコミュニティクラブに参加。さらに苦手な水泳に挑戦する。友人の橋本(田山涼成)や水泳教室のコーチ(高月彩良)と交流する中で、人生の希望を見いだしていく。
※この記事は「ゆうゆう」2024年5月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のために再編集しています。
撮影/広岡雅樹 取材・文/村瀬素子
ゆうゆう2024年5月号
今月の特集は「モノがあっても心地いい家」がテーマです。3つの実例では、思い出の品や捨てられないモノをセンス良く配置するコツを拝見。また、収納のプロには、今あるモノをすっきり見せる&しまうコツを教えてもらいました。どのコツも、ちょっとした工夫で見た目の印象がガラリと変わるものばかり。やってみよう、と思ったらさっそく実践を。
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