「SKYキャッスル」私たちはみんな嘘をつく。嘘しか出てこないのは誰?13〜18話レビュー【韓国ドラマ】
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藤岡眞澄
「SKYキャッスル〜上流階級の妻たち〜」は、韓国のJTBCで2018年11月から放送されたテレビドラマ 。「スカイキャッスル」が日本版のタイトルで、2024年7月25日から毎週木曜日、テレビ朝日で放送中です。ゆうゆうtimeでは韓国版「SKYキャッスル」全36話を6回のレビューに分けてお届けします。第3回は13〜18話です。
※ネタバレを含みます
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ウィオ~ライッ♪ ストーリーが盛り上がる場面や各話のエンディングに流れるOSTの「We all lie」。透明感あるクールなハジンの歌声が謎めいたドラマにふさわしく、次々起きる事件への好奇心を掻き立てる。
タイトルが意味する「私たちはみんな嘘をつく」こそ、13~18話のメインテーマだ。
念願のソウル医大に合格した息子ヨンジェの造反、妻ミョンジュの猟銃自殺に直面。大学病院を辞して失踪していたスチャン(ユ・ソンジュ)が姿を現した。
スチャンはソジン(ヨム・ジョンア)をSKYキャッスルに訪ねたコーデのキム先生(キム・ソヒョン)を車で拉致。「貴様はそれでも人間か」と銃を突きつけたのだ。
そして警告する。「こんな不幸はわが家だけで終わらせる。また同じ不幸が起きたら、ひっそりとあの世へ送ってやる」と。
その“不幸”が次々起きている韓国学歴社会の現実を、小説を書くことで変えたいと考え始めたのがスイム(イ・テラン)。コーデだったキム先生からヨンジェ一家に悲劇が起きた理由を聞き出したい、と接触を試みる。
そんなとき、スイムの息子ウジュ(チャニ)が恋心を寄せるヘナ(キム・ボラ)の母が急死。ヘナは遺品の中から、母が恋人と撮った1枚の写真を見つける。その恋人こそ、生徒会長選のライバル・イェソ(キム・ヘユン)の父ジュンサン(チョン・ジュノ)。なんとヘナはジュンサンの娘、イェソとは異母姉妹だった。
父親は死んだと聞いて育ったヘナ。それはジュンサンに棄てられた母が娘についた哀しい“嘘”だったのだ。
イェソの生徒会長就任を祝うSKY夫婦4組のホームパーティーで、スイムはヨンジェを題材に、SKYキャッスルが背景の小説を書く、と話を切り出す。だが、ソジンは大金を使ってコーデを雇っている事実が世間の噂になることを怖れ、執筆に反対する。
SKYキャッスル住民集会で「格差が叫ばれる世の中、貧しい人々にも配慮すべき」と反対理由を得々と語るソジン。その上から目線な態度にスイムはキレた。「学費の支払いに窮し、牛の血を売っていたことを忘れたの?」と。実はソジンとスイムは高校の同級生だったのだ。
根っからのセレブかと思いきや、生まれは貧しい精肉店で、酒浸りの父から虐待を受けて育ったソジン。自らの生い立ちに強烈なコンプレックスを抱き、改名してまで過去を消し去ろうとついた壮大な“嘘”は、呆気なくバラされた。
それでも顔色ひとつ変えず、毅然と振る舞うソジンも、演じきったヨム・ジョンアも肝の据わった女性だ。
キム先生も、親への復讐心を植え付けることで悲劇を招いた犯罪もどきの手法が小説で世間にバレるのを阻止しようと、嘘の過去をでっち上げ、スイムの信頼を得る。
キム先生の口からは、もはや“嘘”しか出てこない。
そのうえで、小説執筆を諦めきれないスイムをスチャンの元に連れて行く。スチャンはスイムに「母親を失って自責の念に駆られている息子を守りたい。小説で世間を変えられるとでも?」と言葉を振り絞る。スチャン自身に断らせることこそ、キム先生の狙いだった。