「SKYキャッスル」私たちはみんな嘘をつく。嘘しか出てこないのは誰?13〜18話レビュー【韓国ドラマ】
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藤岡眞澄
そして、ヘナも動き出した。ジュンサンの娘であることをひた隠しにしたまま、勉強が苦手なイェビン(イ・ジウォン)の家庭教師として住み込ませてほしい、とソジンに直訴する。
父親の愛を求めて“嘘”を身にまとう17歳のヘナは、生き抜く賢さに長けた策士だが、健気で痛々しくもある。
そして、ヘナの真実を知るキム先生の「ライバルのヘナはイェソを強くするペースメーカー」という助言を真に受け、母親の身バレ騒動に動揺して成績急降下のイェソを立ち直らせようと、ソジンはヘナを居候させる決断を下すのだが……。
SKY妻たちが思っていることを相手にストレートに吐き出す様子は、韓国ドラマならでは。これだけはっきりモノを言うからこそ、まるで2倍速で見ているかのような超スピード展開にも戸惑うことなくついていける。
日本のドラマが「言わなくてもわかるでしょ」と、あえて言葉にせずに視聴者の感情や理解に委ねるのとは対照的だ。
怒りのあまり相手の髪をひっつかんだり、足蹴りを食らわせようとしたり、頭からメープルシロップをぶっかけたり……。あり余るエネルギーで妻たちが派手なアクションを繰り出すシーンも珍しくない。
その一方で、夫たちがSKYキャッスルや大学病院の医局で繰り広げる権力闘争は、常に影でヒソヒソ。相手の顔色を窺ったり、足を引っ張ったり、ごまをすったり、陰湿で滑稽ですらある。
だが、この“茶番”が、重いテーマを背負うドラマに絶妙なメリハリを与えているから侮れない。何より、演者がみな芸達者だ。
その結果、妻たちはあくまでも強く、夫たちは(スイムの夫を除いて)情けない。
余談だが、度々登場するので気になっていたのが、娘のイェソにソジンが手渡すパウチ。中身は高麗人参が原料の「紅参」濃縮エキス入りサプリメント飲料だそう。疲労回復や記憶力向上(⁉)に効果があるとして、高価にもかかわらず、受験生のいる家庭ではよく見かける商品だという。韓国受験戦争のリアルが垣間見られる一コマだ。
もう一つの大きな“嘘”は、スンヘ(ユン・セア)一家に混乱と危機をもたらす19話以降。SKY妻たちは、子どもの幸せとは何かを問い直し始める。
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