「SKYキャッスル」怒涛のように感情を揺さぶられる神回の連続25〜30話レビュー【韓国ドラマ】
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藤岡眞澄
「SKYキャッスル〜上流階級の妻たち〜」は、韓国のJTBCで2018年11月から放送されたテレビドラマ 。「スカイキャッスル」が日本版のタイトルで、2024年7月25日から毎週木曜日、テレビ朝日で放送中です。ゆうゆうtimeでは韓国版「SKYキャッスル」全36話を6回のレビューに分けてお届けします。第5回は25〜30話です。
※ネタバレを含みます
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SKYキャッスルで起きた重大事件をきっかけに、子どもを受験の勝者にすることだけが果たして幸せなのかを親たちが自問し、変わり始める25~30話。怒涛のように感情を揺さぶられる神回の連続だ。
事件はウジュ(チャニ「SF9」)の誕生日パーティーの夜に起きる。ゲストハウスのベランダから転落したヘナ(キム・ボラ)が亡くなり、警察は殺人事件と断定。犯人探しが始まる。
パーティー直前、イェソ(キム・ヘユン)に「父は婚外子を“障害物”だと思っている」と挑発されたヘナは、高校のHPに「イェソの父親は私の父親だ」とアップすると脅していた。イェソは動揺を隠せない。
またセリ(パク・ユナ)もゲームで偽ハーバード大生と揶揄するヘナと口論になっていて、ウジュもヘナに自分の想いが伝わらないことにイラ立ち、喧嘩になっていた。イェソ、セリ、ウジュ—— 3人それぞれにヘナ殺害の動機らしきものがある。
一方、瀕死のヘナが搬送されたのはジュンサン(チョン・ジュノ)が勤務する大学病院。ヘナがわが娘とは知らないジュンサンは、出世に目がくらんで院長の孫の手術を優先する。口をかすかに「アッパ(お父さん)」と震わせ、涙を流すヘナをジュンサンは見棄てた。
居候した家でイェソやイェビン(イ・ジウォン)に愛情を注ぐ父ジュンサンの姿を見て、ヘナが嫉妬と同時に、憧れも抱き始めていたのがわかっていただけに、胸が詰まる。
傍若無人に周囲を振り回す憎まれキャラだったヘナを、最後に憐憫キャラに昇華させたキム・ボラが凄い。韓国ドラマの子役は演技が上手い。
事件の早期解決を図るために集まったSKY住民。わが子を守るためとは言え、知的セレブにあるまじき悪態の応酬とつかみ合いの乱闘を繰り広げる。とても演技とは思えない迫真の姿、だからこそむしろ笑える。
こんな滑稽シーンを深刻な事件の合間に突っ込んでくる脚本が秀逸。シリアスとコメディが入り交じり、時間軸も行き来するから、画面から目が離せない。
乱闘シーンの注目は、学歴至上主義者ミニョク(キム・ビンチョル)が娘の学歴詐称をディスられ、「セリはクラブのMDだ。市場調査も……」と咄嗟に怒鳴り返す姿。「ピラミッドの頂点を目指せ」が口癖だが、娘のやりたいことも理解しようとする親心が不意に滲む。
だが、勉強意欲向上のため、巨大なピラミッドを家に運び入れるのだから手に負えない。キム・ビンチョルのコメディ演技が冴え渡る。
そして、事件は大展開。ウジュがヘナ殺害の容疑で連行される。
息子の潔白を一途に信じる母スイム(イ・テラン)。検察へ移送される間際にウジュが口走った「ヘナはキム先生(キム・ソヒョン)に“勉強道具”と言われてムカついていた」という言葉に、ヘナはキム先生と関わりがあったのでは?と疑念を抱く。