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【60代の住み替え実例】ファイナンシャルプランナー・井戸美枝さん「老後を見据えて戸建てからコンパクトなマンションに」

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ゆうゆう編集部

夫婦ふたりの老後を見据えて、広い一軒家からコンパクトなマンションに転居したファイナンシャルプランナーの井戸美枝さん。膨大な家財の整理や予想外の問題に直面しながらも、快適で安心できるマンション暮らしを手に入れるまでの顚末を伺いました。

※記事内の年齢などは、2023年の取材時のものです。

▼井戸美枝さんのゆうゆうtime連載は▼井戸美枝の「老後のお金不安はいまから解消!」

PROFILE
井戸美枝
いど・みえ●井戸美枝事務所代表。ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士として相談業務、講演、執筆活動を行う。『親の終活、夫婦の老活インフレに負けない「安心家計術」』(朝日新書)など、著書多数。ゆうゆうtimeにて「老後のお金不安はいまから解消!」を連載中。

高台の一軒家から街中のマンションへ

2022年、36年間暮らした一軒家から、マンションに移り住んだ井戸美枝さんは、現在65歳。

「以前の家は見晴らしのいい高台にあり、近くに植物園や牧場もあって、子育てに最適でした。 でも、子どもが家を離れると、敷地80坪の家は広すぎて、掃除や庭の手入れも年々大変に。 駅から遠く、どこへ行くにも車が必要な立地で、『高齢になって免許を返納したあと、暮らしていけるのだろうか』『将来、家の築年数が古くなると、売れなくなるのではないか』と心配になってきたんです」

そこで夫と話し合い、「体が元気なうちに、もっと交通の便がいいコンパクトなマンションに引っ越そう」と決断。 不動産鑑定士に自宅の売却相場の査定を依頼する一方、転居先は固定資産税などのコストがかからない賃貸マンションと決めて、ネットで物件を検索した。

「資金計画は、夫婦であと何年生きるか詳細に計算しました。 日本人の死亡数最多年齢は、男性88歳、女性93歳。わが家の場合、夫婦としての同居期間は今後約19年間、以降の約9年間は私の独居生活、というのが目安になります。 家の売却益からその間の生活費と医療や介護にかかるお金を取りおいて、ムリなく出せる費用を割り出しました」

転居先は、井戸さんが学生時代を過ごしてなじみがあった地域の、3LDKのマンション。 海が見える山の手にあり、駅や商店街、病院なども近い立地が決め手になって、わずか1週間で即決した。

急に決めた賃貸マンションは失敗。半年で再び住み替え

引っ越しに当たって、苦労したのが家財の処分だ。

「36年間を過ごした戸建ての家には、婚礼家具、客用の座布団、使わなくなったスキー道具等々、いつのまにか増えた家財がどっさり。 転居先は広さが3分の1となるため、3カ月かけて欲しい人がいれば譲り、売れるものはネットで売却し、最終的に4トントラック3台分の不要品を処分。住み替えには体力と気力が必要と痛感して、あらためて『早く決めてよかった』と思いましたね」

ところが、実際に新居で暮らし始めると、窓の少ないマンションが息苦しい、築30年で設備が古く、日の当たらない部屋に気持ちがふさぐ、夫との距離が近くなりすぎて疲れる……など、予想外の問題が続出したという。

「持ち家と違って毎月かかる家賃や駐車場代もストレスになって、ついに体調を崩してしまったんです。 そのうえ夫が家の前の坂道で転倒して骨折し、40日間も入院。高齢になると、何でもない坂道が危険になることを、身をもって経験しました」

結局、半年で再び住み替えを決め、今度は坂のない街中で、築3年の分譲マンションを購入した。

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