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「自分に自信がもてない、人生の成功者になりたい」という人が、満足感をもつには?【坂東眞理子さん】の人生相談

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ゆうゆう編集部

仕事、健康、人間関係、親の介護、老後のお金……50代からの人生には不安や迷いがいっぱい。そんな私たちに「ウィメン・ビー・アンビシャス。自分で自分の人生に責任と覚悟をもって生きていこう」とエールを送ってくれる坂東眞理子さんが、皆さんのお悩みを解決します。

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©︎廣江雅美

PROFILE
坂東眞理子
ばんどう・まりこ●1946年富山県生まれ。東京大学卒業後、総理府(現内閣府)入省。埼玉県副知事、オーストラリア・ブリスベン総領事、内閣府初代男女共同参画局長などを務め、退官。現在、昭和女子大学理事長・総長。『女性の品格』『70歳のたしなみ』『幸せな人生のつくり方』など著書多数。

相談
自分に自信がもてない。人生の成功者になるには

継続雇用制度で62歳まで頑張ってきましたが、そろそろ新しい職場に移れる最後のチャンスかなと思い、次の職を探しています。今までは人事・法務部だったので、次は子ども相手の仕事をしたいと思っています。とはいえ、子育ても成功したとはいえず、孫もいません。次の職場でうまくできなかったらどうしようと、自分に自信がなく、不安がよぎります。
 
坂東先生のご著書『女性の覚悟』の中に、フリードマン教授の「トータル・リーダーシップ」という言葉が出てきましたが、「仕事・家庭・コミュニティ・自分自身」の分野で成功するための具体的な方法について、詳しく教えてください。(62歳・事務職)

人生の各ステージで、自分自身で選択・決断しましょう

どういう生き方をしたいか

まず最初に、「トータル・リーダーシップ」について説明しましょう。トータル・リーダーシップとは、仕事面での成功だけでなく、人生の成功に重きを置くという考え方。ペンシルベニア大学ウォートン校というアメリカの名門ビジネススクールで教鞭を執ったフリードマン教授が提唱しています。ビジネススクールに通い、「金儲けするぞ」「イーロン・マスクのようになるぞ」と、仕事での成功を目標とする学生さんたちに対して、仕事での成功が人生で成功するうえでのすべてではない、仕事だけでは人生は豊かにならない、だから「他のことにも目を向けよう」と言っています。

愛する家庭がある、家族や仕事関係とは別の友達や趣味の仲間・コミュニティをもつ。そして自分自身が本当は何をしたいか、どういう生き方をしたいか、そういった多面的な目標を考えなければいけないよ、というのがフリードマン教授の説です。

人生の各ステージにおいて、仕事の比重が大きくなって家庭やコミュニティの比重が小さくなる時期、逆に仕事の比重が小さくなって家庭やコミュニティが中心になるような時期など、バランスは変わっていきますよね。そのバランスを変えながら、自分の人生に対してリーダーシップを発揮する=自分の人生に責任をもつこと、自分が選択・決断をすることが大事です。

自分の人生に対するリーダーシップがないと、「あの人はいいわね。それに比べて私は……」などと、他人に心を惑わされてしまいます。人と比べることなく、「私は置かれた場でベストを尽くした」「やれることは私なりにやったぞ」と満足感をもてるようにするのが、「自分自身」の分野で成功するということ。「及ばずながら頑張ったぞ」「自分をごまかさず、恥ずかしくない生き方をしてきた」と思えれば、あなたの人生は成功したといえるでしょう。

人生の移行期は、強みを生かせる仕事を探そう

さて、改めてお悩みに目を向けてみると、相談者の方にとっては今が新しいステージへと踏み出す人生の移行期。ぜひ今の仕事のスキルや知識が生かせるような仕事を探して、転職してください。まったく経験のない畑違いのことをやるのではなく、自分の畑から、自分の強み・よさを発揮できるような新しい仕事を見つけられるように周囲に声かけしましょう。お給料は少し安くても、良心的な施設で働くなどすれば社会の役に立ちます。あなたがもっている専門的な知識を活用して、正当な対価を得られるような仕事に就くことをおすすめします。

自分の人生のリーダーシップという意味で、子どもと触れ合いたいのならば、ボランティアなど、仕事以外でそういう場をつくることです。保育園でのボランティアや、児童養護施設にいる子どもを土日だけ預かる週末里親など、援護を必要としている子どもたちに手を差し伸べるのも、トータル・リーダーシップに含まれる「コミュニティ」活動のひとつ。それで生活費を稼ごうとは考えず、仕事は仕事できちんとやるべきです。

それより私が気になったのは、「子育ても成功したとはいえない」「孫もいない」という自己肯定感の低さです。子育ての成功とは何でしょうか? 子どもの学歴が自慢できない、子どもが立身出世しなかったということかもしれませんが、ちゃんと成長して社会人になっているなら立派ですよ。どうしても他の子どもと比べてしまいがちですが、「これで十分」「私の子育ては成功」と自信をもってください!

「トータル・リーダーシップ」とは

ペンシルベニア大学ウォートン校のスチュワート・D・フリードマン教授が提唱する、人生を充実させるためのメソッド。仕事・家庭・コミュニティ・自分自身の4つの面で成功するためには、何を目指すか目標を定め、そのために行うべきことや時間のつくり方など具体的な戦略を立てることが重要と説く。自分は何がしたいのか? 人生で本当に手に入れたい価値は? 自分の内面と向き合い、人生の次なるステージを見つけよう。

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※この記事は「ゆうゆう」2023年4月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のため再編集しています。

※2023年3月25日に配信した記事を再編集しています。

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