【池上彰の未来予測】「南海トラフ地震」2024年までに起きたら経済活動はどうなる?
3つの地震が同時に起こる可能性はきわめて低いが安全のために経済活動は麻痺する
この東日本大震災の反省から、南海トラフに関しても、東海地震、東南海地震、南海地震の3つが個別に起きるだけではなく、同時に起きることも想定しなければいけないと考えられるようになりました。そのため最近では「南海トラフ巨大地震の恐れがある」「もしもこの3つの地震が同時に起きたら、これだけの大規模な被害が出る」と強調されているのです。ただし実際には、東海地震だけが起きるとか、南海地震だけが起きるという確率と可能性のほうが、はるかに高いというわけです。
ただし今問題なのは、たとえば3つのうちの1つの地震が起きたとして、「南海トラフの巨大地震のうちの3分の1の地震が起きました。残りの3分の2も、明日にも起きるかもしれません。みなさん警戒してください。避難してください」と言って、東海道新幹線や東名高速道路などの交通網を止めた場合、いつまで止めておくべきかということです。
東海地震が起きたりして大きな被害が出れば、東海道新幹線などは止まります。しかし東南海地震や南海地震がすぐに起きるのか、1カ月後、あるいは1年後に起きるのか、それともまったく起きないのかは、誰にもわからないのです。その状態で何日止めておくのか、いつ再開するのかを、誰がどうやって決めるのかはきわめて悩ましい問題になります。
どうも次の地震は起きそうもないなと新幹線を動かした途端に、次の地震が起きて新幹線が横転してしまったら、大変な事態になります。だからといって、責任を追及されたくない、責任逃れをしたい人たちが「もう少し、もう少し」と止め続ければ、日本は経済活動が麻痺してしまいます。
※この記事は『池上彰の未来予測 After 2040』池上彰 著(主婦の友社)の内容をWEB掲載のために再編集しています。
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