【美しき日々】愛は人を走らせる。長い坂道を一気に駆け上がるイ・ビョンホン 17〜24話【韓国ドラマ】
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藤岡眞澄
「美しき日々」は、2001年に韓国SBSで放送されたテレビドラマ。日本でもNHKで放送されましたね。イ・ビョンホンに心奪われ、チェ・ジウに涙し、リュ・シウォンにときめいた方も多いのでは。全24話を久々に一気見した感想を3回に分けてお届けします。第3回は17〜24話のレビューです。
※ネタバレにご注意ください
▼「美しき日々」第1回はこちら▼
【美しき日々】「僕の好意は断れないよ」その自信はどこから?ミンチョル(イ・ビョンホン)のキザ炸裂1〜8話【韓国ドラマ】
「涙をこらえるのに苦労した」という、イ・ビョンホン
ミンチョル(イ・ビョンホン)は、父が殺人を犯した事実を知り、ビクトリー・レコードが倒産する、という人生のどん底に落ちたとき、愛するヨンスを傷つけたくなくて婚約の破棄を突きつける。
ヨンス(チェ・ジウ)は、慢性白血病に冒され、命の残り時間が長くはないかもしれないと知ったとき、愛するミンチョルを悲しませたくなくて、再プロポーズに「YES」の答えを躊躇する。
相手を思いやるあまり、本心ではない別れを選ぼうとする2人の幸せを願い、周囲の人たちも奔走する17~24話。
『美しき日々』は、愛の尊さだけではなく、友情の大切さや人間愛の物語でもあると、23年ぶりの一気見で気づかされた。リピート視聴したからこそ、わかることがある。
自分が“重荷女子”だと自覚するほど、「別れたくない」とミンチョルに追いすがるヨンス(17話)。その手を振りほどき、その場を走り去る車を運転しながらミンチョルが流す涙が美しい。
たとえ“涙を流す”と書いてあっても、台本に頼らず、自分の感情を大切にしたい、というイ・ビョンホンが「あの時は自然に涙が出てしまい、自分でも涙をこらえるのに苦労した」(※)と語るシーンだ。
こんな抑制の効いた涙こそ、人の心を強く揺さぶる。
ソンジェの献身が際立つ、神がかりの21話
つらい別れを経験して以来、貧血症状を起こすヨンスをソンジェ(リュ・シウォン)が病院に連れていき、病名が慢性白血病だとわかる。
一方、ミンチョルは豪邸を引き払い、アパートで父、妹ミンジ(シン・ミナ)と3人暮らし。昔の仲間を集め、音楽業界で再起を図る。
大事な時期のミンチョルにとって、いつ命が尽きるかもしれない身は苦しめるだけ、と自分から距離をおき始めるヨンス。親友のナレ(イ・ユジン)は、ヨンスの様子が変わった理由が白血病だと知る。
ヨンスの妹分セナ(イ・ジョンヒョン)の寂しさを理解し、やっかいぶりにも付き合い、夢を支えるナレ。そして、白血病になったヨンスを持ち前の明るさで励ますナレの優しさと“お節介”には、何度も泣かされた。ラストを決定づけたキーパーソンは、ナレだと思う。
そのころ、デビューして成功をつかみかけていたセナは過去のスキャンダルを暴かれ、歌手生命の危機に立つ。荒れるセナを気づかって、治療を先延ばしにするヨンス。そんなヨンスに、ソンジェは病気を治す気持ちを持つよう説得する(21話)。
「この世に生きてさえくれれば、他に何も望まない……。セナの望みも全部叶えるから。セナを愛せと言われるなら、愛せるから」——兄を愛していると知りながら、ヨンスの命を助けたい一心のソンジェの献身が際立つセリフだ。
このシーンでリュ・シウォンはチェ・ジウの前に跪き、静かに涙を流しながら語りかける。3分半にわたる長回しは、もはや神がかり。この瞬間、ソンジェは愛するヨンスを兄ミンチョルに託すと決めた。