【シニアのひとり暮らしの防犯】50〜60代がターゲットの「詐欺と悪質商法」から身を守るには?
ゆうゆう世代を狙った犯罪が急増しています。 「闇バイト」を使った強盗事件が多発し、詐欺の手口はますます巧妙になる中、ひとり暮らしの女性が財産と身を守るためにできることは何でしょう。防犯の専門家・桜井礼子さんに伺いました。
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>> 闇バイト強盗や詐欺被害…【シニアのひとり暮らし】の守り方の鉄則「うちは大丈夫」の落とし穴は?お話を伺ったのは
桜井礼子さん 防犯アナリスト
さくらい・れいこ●日本防犯学校副学長。「日本初の女性防犯アナリスト」であり、防犯界の第一人者・梅本正行氏の一番弟子。事件現場の検証と取材に携わる。「女性・母親・高齢の親をもつ娘」の視点で、今すぐできる防犯対策を具体的にわかりやすく伝えている。
【防犯のコツ】訪問業者がやってきてもむやみに玄関ドアを開けない
女性のひとり暮らしでは、「家族以外の人は家に入れないことが大原則です」と桜井さんは強調する。宅配便はインターホン越しですませたい。
「2023年に起きた東京都狛江市での強盗殺人事件は、宅配便業者を装って侵入しました。宅配便が来てもドアは開けず、インターホンで送り主や中身を確認します。心当たりがある場合でも、玄関前に置いてもらうか宅配ボックスに入れてもらいます。通販は、代引きで買うのはやめましょう」
戸建ての場合、インターホンが玄関脇にある家もある。
「敷地内に他人が入り込むのを避けるため、インターホンは門柱にとりつけてください。門柱がなくても、『機能門柱』というインターホンや、宅配ボックスなどの機能がついた門柱を後から設置することができます。これは『この先には侵入しないで』の目印になります」
ガス・電気・火災報知器などの点検でも、油断は禁物だ。
「あらかじめ地域を担当する会社を調べておき、その電話番号を控えておきます。担当者が訪ねてきたら、すぐその会社に電話をして『〇〇さんという方が来ていますが……』と尋ね、確認してから中に入れましょう」
【防犯のコツ】強盗も詐欺も個人情報を守ることが防犯の第一歩
自分の個人情報は「犯罪者グループにある程度漏れている、と思ったほうがいいですね」と桜井さん。特殊詐欺グループが「ひとり暮らしの60代女性の電話番号が欲しい」と依頼すれば、即座に提供できる情報屋が多数存在するという。
郵便物やごみから個人情報が盗まれることもある。郵便受けの施錠を習慣にしよう。個人情報が書かれたごみはシュレッダーにかけるか、個人情報保護スタンプを押して隠してから捨てるようにしたい。
近年はSNSから情報を集める犯罪者も少なくない。
「プロフィール欄に本名や住所を書くのは絶対にNG。ニックネームと都道府県名にとどめましょう。写真撮影はGPS機能をオフにし、背景にはボカシを入れましょう。リアルタイムで『今韓国です』などと写真をのせるのは、空き巣を呼び込むようなもの。自分の行動を他人に知られないよう十分注意を」
室内で写真や動画を撮る場合にも注意が必要だ。
「窓の外の風景から自宅を特定されることがあります。最近は画像解析の技術が進歩し、瞳に映る風景から自宅を推測されることさえありえます」