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【大竹しのぶさん】「もう一度恋をしたい」と言っていた、その進捗状況は…?

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ゆうゆう編集部

昨年もさまざまな分野で八面六臂の活躍だった大竹しのぶさん。各ジャンルで大竹さんを知ったという、新たなファンが続々増えています。この春は、また新作の舞台で同年代の役柄に挑戦。2025年も爽快に疾走する大竹さんに舞台に臨む思い、もう一つのライフワークである歌のライブへの思いを伺いました。

PROFILE
大竹しのぶさん 女優

おおたけ・しのぶ⚫︎1957年東京都生まれ。
75年に映画『青春の門─筑豊編─』で本格デビュー。
気鋭の映画監督、舞台演出家の作品に多数出演、主要な映画・演劇賞を数々受賞。
2011年紫綬褒章受章。24年第13回岩谷時子賞受賞。
著書に『ヒビノカテ まあいいか4』(幻冬舎)がある。
NHK-R1「大竹しのぶの“スピーカーズコーナー”」(毎週水曜21:05~)が好評放送中。

笑えて、お芝居も観られてそして考える

大竹しのぶさんが1年の間に取り組んできた仕事のリストを見ると、本数の多さもさることながら、そのジャンルの多様さに驚かされる。舞台やテレビドラマのみならず、昨年はディズニー映画の続編に再び声優として出演、週1回のラジオのレギュラー番組でパーソナリティも務め、新聞の連載エッセイの執筆も行う。まさにマルチな才能を遺憾なく発揮してますます大活躍なのだが、そんな大竹さんの仕事の中でも、近年特にファンの皆さんが楽しみにしているのが、歌のライブだ。昨年に続き2025年も1月のビルボードライブ大阪でライブを開催、続いて2月のブルーノート東京でも公演が行われる予定だ。

「音楽は、私がまず歌うことが好きなのと、お芝居とはまたちょっと違うお客さまとの関わり方ができるので、特にライブは楽しいなって思うんです。役ではない素に近い私が、物語的なお芝居のように歌を歌う。歌はいろいろなドラマをお見せすることができるのが楽しいんです」

選曲は自ら行う。日頃からジャンルの垣根なくさまざまな音楽を聴くことが好きだ。ラジオ番組でかける音楽も自ら選ぶが、「詞がいい」と思ったものを選ぶことが多いという。

「持ち歌があるわけではないので、ライブではみんなが知っている歌もたくさん歌いますね。シャンソンも歌いますし、あと今は反戦の歌も。笑えて、お芝居も観られて、そして考える、ということをコンセプトにもっていきたいなというのは考えています」

反戦といえば、昨年後半は、10年ぶり5回目となる『太鼓たたいて笛ふいて』の舞台にも出演した。戦争に翻弄された作家・林芙美子の後半生を通して反戦の思いを伝える、故井上ひさしさんの作品だ。今年は、ウクライナやガザをめぐる状況もあり、芙美子を演じる大竹さんの胸にも新たな思いが去来した。

「国の物語にみんなが動かされるというのが、過去の話ではなく、現在起こっていることとして受け止められるんですよね。それだけに一つひとつの言葉がより一層刺さる感じがして。私たちもそういうものに巻き込まれているのだよということは、考えなくちゃいけないと思っています」

大竹さんは特に若い人に観てもらいたくて、周りの若い俳優仲間に積極的に声をかけた。同年代の人には「若い人を誘ってきて」と頼んだ。その結果、さまざまな若い人たちが足を運び、思うことを伝えてくれた。お芝居自体は歌あり笑いあり、楽しい場面もたくさんある。しかし終演後は何か宿題を託されたような気分になる。まさに、「笑えて、お芝居も観られて、考える」。多岐にわたる大竹さんの仕事だが、その根幹の姿勢は一貫しているのかもしれない。

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