「ブクブクうがい」と「ガラガラうがい」はどちらが正解?【花粉症対策】鼻やのどの粘膜を鍛える簡単な方法
花粉の飛散状況が気になる季節。のど、鼻の粘膜を鍛えておくと、カゼやインフルエンザ、花粉症などの対策に役立つということを知っていますか? 書籍『肺炎・ウイルス感染症にならないのど・鼻の粘膜の整え方』の著者・耳鼻咽喉科専門医の浦長瀬昌宏先生に、だれでもできる粘膜強化法を教えてもらいましょう。5回に分けてお届けする第3回は、鼻やのどに異物を入れないケアについて。
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わきにペットボトルを挟むと鼻が通る!?【鼻やのどの粘膜】を鍛える方法を耳鼻咽喉科医が伝授[花粉症対策]鼻やのどに異物を入れない
鼻とのどの粘膜の健康を保つためには、鼻やのどに異物を入れないことも大事です。
異物そのものが粘膜にとって有害なことがあります。
ニコチンやタールなどの有害物質を含んでいるたばこの煙は、粘膜に悪影響をおよぼします。花粉やハウスダストなども、異物そのものが有害でなくてもアレルギーの原因になります。
また、異物が感染の原因になることもあります。空気中を漂う物質にウイルスや細菌などが付着しており、それが感染の原因になることもあるのです。
以下、鼻やのどから異物を取り除く方法を紹介していきましょう。
ブクブクうがい? ガラガラうがい?
うがいをすると、のどにある異物を洗い流すことができ、加湿にも効果があります。 うがいには、「ブクブクうがい」と「ガラガラうがい」があります。
ブクブクうがいは、口の中だけをすすぐうがいです。これで口の中の異物を取り除くことができます。
それに対してガラガラうがいは、のどの中まで水を入れるうがいです。
ガラガラうがいを強く行うと粘膜を傷めてしまいます。とくにかぜをひいたときにガラガラうがいを強くするのは、声帯を傷めるので避けたほうがよいでしょう。
ガラガラうがいだけでなく、のどがいがらっぽくなるとどうしてもせきをしたくなります。しかし、強いせきを続けると粘膜を傷つけてしまうので、できるだけ避けましょう。
うがいは「ガラガラ」と大きな音をたてず、静かにのどの中に入れて吐き出せば十分で す。海外の人はガラガラうがいをできない人が多いようです。ガラガラしようとしても、飲み込んでしまうようですね。
うがいで使う水には、薬を入れるべきでしょうか。それについては、2002年に京都大学で研究されています。
水だけのうがい、うがい薬を使ったうがい、うがいなしを比較しています。
その結果は次のようなものでした。
1 水うがいは、うがいなしよりかぜをひく人が4割減った
2 うがい薬を使ったうがいは、うがいなしとほぼ変わらなかった
ポビドンヨードを使ったうがいとうがいなしがほぼ変わらなかったわけですから、うがい薬の効果はマイナスだということになります。
人の体の中には、人の細胞数の10倍以上の微生物が存在しています。それらの微生物は粘膜に感染せずに、バランスを保って微生物叢(そう)を形成しています。このような微生物叢は、腸での役割について研究が進んでいます。腸内微生物叢(腸内フローラ)のバランスがとれていると、免疫力が高まり、感染を抑えることがわかっています。
鼻やのどの粘膜も腸と同じように、微生物叢が形成されています。
鼻やのどの粘膜がウイルス感染し、微生物叢のバランスが崩れると、ブドウ球菌や連鎖球菌に感染しやすいことが知られています。
ですから、わざわざ消毒薬で微生物叢を乱す必要はないのです。逆に、薬の刺激が強いと、粘膜を傷つける恐れがあります。
ちなみに、インフルエンザウイルスの感染予防に、うがいは効果がないようです。インフルエンザウイルスは気道に付着して20分で細胞に取り込まれてしまうからです。
うがいは、水でもお茶でもかまいません。うがい薬を使いたいときは、刺激がない量を入れるようにしましょう。
私が、うがい薬を処方するときは、刺激の強いポビドンヨードよりも、使い心地がさわやかなアズレンを処方するようにしています。アズレンは、カミツレというキク科の植物に含まれる物質が原料となっています。アズレンには抗炎症作用や抗アレルギー作用があり、効果は穏やかで副作用も非常に少ないので、のどの粘膜を傷めにくいのです。