ロングセラーの【水溶性色鉛筆】で楽しむ!大人の塗り絵の世界
子どものころ、お気に入りの消しゴムやをえんぴつを、かわいい筆箱に入れて持っていた、ゆうゆう世代のみなさんも多いことでしょう。文字と文房具に並々ならぬ関心と愛情をもつ、文具ライターの小日向 京さんが、ロングセラーの水溶性色鉛筆を紹介します。
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様々な色彩の色鉛筆が並ぶ姿は、眺めていて時を忘れてしまいます。
近年コロリアージュ=塗り絵を本格的に行なう人々も増え、大人のための道具としても定番化した色鉛筆。世に数多あるものの中から、ロングセラーの水溶性色鉛筆・カランダッシュのプリズマロを今回はご紹介します。
カランダッシュは1915年スイスで創業した「ジュネーブ・エクリドール鉛筆製造所」を前身とし、1924年に社名を「カランダッシュ」として100年以上にわたり画材・高級筆記具を作り続けている文具メーカーです。
こちらのプリズマロは、世界で初めての水溶性色鉛筆である1931年発売の品。
水溶性色鉛筆とはその名の通り「水に溶ける芯をした色鉛筆」で、紙に色を塗ったあとに水を含ませた筆でなぞると溶け、水彩画のようなタッチに変化させることが可能です。
プリズマロは2025年で発売95年目! 長い歴史を持つ色鉛筆です。
全80色あり、プリズマロの発売から57年後の1988年に発売された水溶性色鉛筆「スプラカラー」は全120色であることを思うと「プリズマロにも、もう少し色数を……」とついつい思ってしまいますが、この80色から色と色を混ぜ合わせると「大概の色は作れるのでは?」という気持ちにさせられる色ラインアップが特徴です。
プリズマロを推したい魅力は、
①紙に芯をなすりつけるように塗る感触が忘れがたく、手にして何かを塗りたくなる
という点が第一。そして、
②水溶性で色彩表現が広がる
③発色が良い(これはカランダッシュの画材全般に共通する)
④六角軸で転がりにくい
と利点は続きます。
そんななか、筆者が①と同等に魅力を抱く点は、
⑤あらかじめ削ってある芯〜木軸の削り口の形が、一般的な色鉛筆よりも鋭角で長い
というもので、比較写真が以下です。
左2本はカランダッシュの油性色鉛筆「パブロ」と前述の水溶性色鉛筆「スプラカラーソフト」、そして右2本がプリズマロです。右のプリズマロのほうが明らかに長く、これは芯が硬めである=左2本に比べて芯が折れにくいことを意味しています。
これを削ってしまえばその時に使った鉛筆削りの形状に変わってしまうわけではありますが、色鉛筆にしてこの長さであるところに期待感を抱いてしまう。そしてプリズマロはその期待を裏切りません。
こちらが80色すべてを塗った見本です。
色画材を買ってまず行なうことが色見本作りで、「濃い→淡い」と筆圧を変えて塗ることにより、軸色や芯の色を見ただけではわからない色の出方を見ることができます。
実際に絵で使う時には、この色見本を確認しつつ適切な1本を選ぶというわけです。
この作業がまた楽しいので、色見本は作っていないという方がおいででしたら、お手持ちの色画材でぜひ作成してみてください。
※上の色見本で色の隣りに数字などメモしてあるのは自分のための覚書で、他にプリズマロの〈30色セット〉や〈2021・2022年限定セット〉も手元にあるため、かぶっている色がわかるように付記している次第です。