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「私、末期がんなの」高校時代の同級生の言葉に同情した60代パート女性……SNSで間一髪の体験【特殊詐欺体験記】

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ゆうゆうtime編集部

実名SNSで届いた、懐かしい同級生からのメッセージ。やり取りを続けるうちに語られた、まさかの告白。そして私がコンビニに向かったその時――。優しさが思わぬ落とし穴になる、そんな出来事でした。60代パート主婦の実体験です。

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実名型SNSで、高校時代の同級生から連絡が

私は60代の主婦です。最近、SNSで思わぬ体験をしました。今思い返すと、もう少しで詐欺の被害にあうところでした。

数年前、友人たちの間で実名制のSNSが流行していました。「みんなやっているから」という軽い気持ちで私も登録したのですが、正直なところ、使い方もよく分からず、しばらくは友人達の、旅行や孫が生まれたなどの近況にいいねボタンを押すだけの使い方をしていました。

ある日、友達申請の通知が届きました。プロフィール写真を見ると、なんとなく見覚えのある顔。高校時代の同級生で、とても気さくで友人の多かった田中さんでした。懐かしい気持ちになり、承認ボタンを押しました。
すぐにメッセージが届きました。「お久しぶりです。覚えていますか?」彼女は現在アメリカに住んでいるとのことで、「海外生活は大変だけれど、充実している」と話していました。

「私、末期がんなの」慌ててコンビニでギフトカードを買うと

しかし、何通かやりとりをした後、突然彼女の様子が変わりました。
「実は体調を崩してしまって」

詳しく話を聞くと、がんの末期だというのです。アメリカは医療保険が日本のように充実しておらず、高額な治療費に困っているとのこと。
「食べるものがなく困っています。少し助けてもらえますか」と書いてありました。
最初は驚きましたが、昔の友人が困っているのを見過ごすわけにはいきません。提示された金額は2万円程度。パート主婦には大金ではありますが、「困った時はお互い様」という気持ちで、助けることにしました。

彼女の指示通り、コンビニでギフトカードを購入しようとレジに向かいました。支払いをしようとすると、顔なじみの店員さんが怪訝な顔。

「すみません。高額のギフトカードを買う方皆さんに確認していますが、詐欺が多発しているので、ご家族に一度相談してもらえますか?」

「えっ!まさか」と思いながらも、いったん店を出て夫に電話をしました。すると、「典型的な詐欺だよ!友達になりすまして、同情を誘ってお金を騙し取る手口だ!絶対に払っちゃ駄目だよ!」と説得されました。

改めて彼女とのやり取りを読み返すと、メッセージの内容にも違和感が……。
「海外に長くいるから仕方ない」と思い込んでしまっていたのです。すぐにその人をブロックし、事なきを得ました。

もし店員さんが声をかけてくれなかったら、間違いなく騙されていたでしょう。
驚きました。
詐欺は決して遠い世界の話ではないことを痛感しました。

人間は、自分の都合のいいように違和感を解釈してしまうのですね。
この出来事から、どんなに親しい人からの連絡でも、お金の話が出たら一度立ち止まって考えるようにしています。

(60代・パート)

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