記事ランキング マンガ 連載・特集

【要約小説】名作のあらすじを読もう!

室生犀星の『荻吹く歌』あらすじ紹介。葛藤と再会に込められた宿命の物語

公開日

更新日

ゆうゆうtime編集部

室生犀星(むろうさいせい)の小説『荻吹く歌』(おぎふくうた)は、人間の葛藤と愛、不条理が巧みに織り込まれた心揺さぶる物語。朽ちゆく愛と新しい希望はどのように交錯するのか?一読の価値がある名作をご紹介します。

▼他の要約小説も読む▼

>>【要約小説】名作のあらすじを読もう!小説特集

夢見る未来と現実の苦悩

物語は、宮仕えを夢見る女性・生絹(すずし)と、その望みに葛藤する右馬の頭(うまのかみ)との関係から始まります。貧しい農村で暮らしながらも、優れた歌の才能と都での新たな生活への強い願望を抱く生絹。一方、右馬の頭は彼女への愛を胸に抱きつつも、自分自身の無力さに葛藤します。京へ上る夢に燃える彼女を支えるため、右馬の頭は自らの所持品を売って資金を用意し、出発を見送ります。

都での新しい生活、そして占い師との出会い

都に上った生絹は、華やかな景色や新しい出会いの中で過去の生活を忘れ、未来への期待を膨らませます。舟で都へ向かう途中、不思議な占い師に出会い、自分の将来が輝かしいものになるとの予言を受けます。その占い師との会話は、彼女の心に微妙な変化をもたらし、都での新しい生活の拠り所となります。彼女は徐々に宮仕えにその身を捧げ、都の文化や人々の中で自己を磨いていきますが、津の国の右馬の頭への思いは次第に薄れていきます。

再会と別離、そして新たな決断

時を経て都で身を立てた生絹は、かつての住まいである津の国に戻ります。しかし、右馬の頭は既に落ちぶれてしまい、乞食のような生活を送っていました。再会の場面は、かつて愛した者同士の間に横たわる深い溝を象徴します。右馬の頭は、生絹とは対照的に過去から抜け出せず、彼女との再会に羞恥を感じ逃げ去ります。その後、生絹は再び都へ戻り、自らの未来を歩む決断をします。

宿命への受容

生絹が都へ戻る舟中、再び占い師と出会います。占い師の言葉を通じて、自らの選んだ道が正しいものであったと確認する生絹。彼女は右馬の頭との関係を過去のものとし、新たな自分を受け入れる覚悟を固めます。彼女の視界には、もう右馬の頭の姿はありません。別れを告げることで、彼女は未来への第一歩を再び踏み出します。

まとめ

室生犀星の『荻吹く歌』は、月日の流れとともに変化する愛と葛藤、生きることの苦悩を丁寧に描き出した作品です。主人公の生絹は、宮仕えへの夢を抱きながらも、故郷に残した恋人・右馬の頭との絆と新生活との狭間で揺れ動きます。現実の厳しさに一度挫けた彼女が再び未来を見つめ前進する姿には、読む者に力強いメッセージを感じさせます。また、占い師との不思議な交流や運命に導かれるような筋立ては、物語に神秘的な深みを加えています。自分の人生をどう切り開いていくのか模索する方々には、ぜひ読後の余韻を楽しんでいただきたい一冊です。

▼あわせて読みたい▼

>>室生犀星の『音楽時計』あらすじ紹介。生と死のはざまで揺れる人間の感情、美しくあろうとする心とは? >>室生犀星の『蛾』あらすじ紹介。49日後に帰ってきた夫。不気味な世界観の先にある真実とは!? >>室生犀星の『神のない子』あらすじ紹介。失うことの痛み、受け入れる強さ、そして無償の愛とは?

※本記事の一部には自動生成による文章を含みますが、内容は編集者が確認・監修のうえで掲載しています。正確性には十分配慮していますが、最終的なご判断は公式情報等をご確認ください。

室生犀星作品集・57作品⇒1冊

室生犀星(著)
室生犀星作品集・出版委員会(刊)
※詳細は以下のボタンへ

画面トップへ移動