76歳・実家を手放し身軽に!70個の段ボールとともにシニア向けマンションへ
人生の後半戦、“自分サイズ"を見直して、シンプルかつコンパクトに暮らし替えをされた方を紹介する「小さい暮らし」の見本帖。今回、登場いただくのは、真藤眞榮さん。後編では、自分で選んだからこそ楽しいという今の暮らしについて伺いました。
▼前編はこちら▼
>>【76歳・自分ファーストな暮らし】70歳目前で入居したシニア向けマンション選びのコツは?自分で選択したから今の暮らしが楽しい
2020年の春、70個の段ボール箱とともにここへ引っ越してきた真藤さん。荷ほどきのタイミングで膝を痛めてしまい、しばらく杖が必要になるという想定外の出来事もあったが、「エアコン1台で暮らせるなんて夢みたい。何台ものエアコンとエレベーターのあった赤坂の家のように、もう電気代で頭を悩ますことはないですから」。
以前は仕事と介護で、「もう30分だけ寝たい」という多忙さだった。今は目覚ましはかけずに休み、それでも朝5時すぎには起きて、調子がよければ散歩をしにお気に入りの公園へ。帰宅後は自室で入浴と朝食をすませ、午前中はほぼ毎日、マンションのサークル活動に参加。午後はのんびり部屋で過ごしたり、友人と連れだって外食や観劇に出かけたり。
「ここでの暮らしが楽しいのは、自分の意志で『ここに住む』と決められたから。70歳という年齢も、住んでみて合わないと思ったらやり直せる年齢だったのがよかったと思うの」
もちろん、自分のような選択が誰にでも向いているとは思っていない。終活しかり、子どもとの同居や近居しかり、まわりからすすめられても「必要に迫られないと動けない」のは同世代としてよくわかる。
「ただ、気力と体力はどうしても衰えていくもの。誰かの世話になりたくないと思ったら、身の丈に合わせたサイズダウンは必要かもしれませんね」
実家を手放して身軽になった真藤さんの70代。「我慢」とは無縁の「自分ファースト」の暮らしを謳歌している。
60年使っているチェストとライティングビューローは「松本民芸家具」のもの。入居後に「ニトリ」でオープン棚を買い足し、両親の写真やお気に入りの食器などの定位置に。
「迎えたもの」は何ですか?
30代の頃から憧れていた長谷川竹次郎さんの銀器を自分へのご褒美に
若い頃に雑誌で目にして以来、長谷川竹次郎さんの銀器に憧れていた。高価なのでなかなか買えずにいたが、娘さんの知人が営むギャラリーで個展があり、匙と花喰鳥(はなくいどり)にひかれた盃を自分へのご褒美として買い求めた。
被災地で頑張っている作家さんの作品を支援の気持ちを込めて購入
落語家の立川志の輔さんが東日本大震災の被災地である宮城県気仙沼市で続けている独演会に、毎年泊まりがけで参加。その縁で知ったイラストレーター・山本重也さんの気仙沼の風景画や、能登半島地震で工房が被災した塗師・赤木明登さんの漆器を、応援の気持ちを込めて購入。
