まさかのおまえが恋愛展開なのかい!と思わずツッコミながら笑った【ばけばけ】9週[写真多数]
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田幸和歌子
1日の楽しみは、朝ドラから! 数々のドラマコラム執筆を手がけている、エンタメライター田幸和歌子さんに、NHK連続テレビ小説、通称朝ドラの楽しみ方を毎週、語っていただきます。『怪談』でおなじみ小泉八雲と、その妻 小泉節セツをモデルとする物語。「ばけばけ」のレビューで、より深く、朝ドラの世界へ!
※ネタバレにご注意ください
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>>【ばけばけ】錦織(吉沢亮)の次元を超えたポンコツな“スキップ”が印象に残った第8週[写真多数]強キャラ登場!協力を依頼されるトキ
日本に伝承される怪談をもとにした作品を発表したラフカディオ・ハーン(小泉八雲)と、その妻・セツをヒロインとした髙石あかり主演のNHK連続テレビ小説『ばけばけ』の第9週「スキップ、ト、ウグイス。」が放送された。
サブタイトルにある〝スキップ〟は、前週のスキップ大会からの流れであり、引っ張るなぁと思わず笑ってしまうが、〝ウグイス〟とは何を指すのか。
「ウグイスです!」
そう言ってヘブン(トミー・バストウ)宅の玄関に現れたのは、江頭県知事(佐野史郎)の娘、リヨ(北香那)だ。もともと西洋に憧れがあるリヨは、それこそミーハーな雰囲気でヘブンに近づいてくる。日本的なイメージの鳥だからというだけの浅い理由で、ウグイスと思われる小鳥を届けた。
「あなたは私のライバルなのかしら?」
ヒロイン・トキにストレートに聞いてくるあたり、強キャラ感満載だ。そもそもなかなか返せない借金に追われる旧武家の娘のトキと、立場の違いも対照的であり、いろいろ気が利き理解度も高いリヨに、ヘブンも好意的な雰囲気だ。
いってみれば三角関係である。とはいえほぼすべての視聴者は、この作品の恋愛要素の行き着く先は知っている。オープニングの映像でもそれは毎回流れている。いつかそこにたどり着く。出会って、誤解を解き理解を深めつつ、少しずつ距離を縮めていく。作品内でもコメディタッチな要素をちりばめながらそれは感じられていた。高額の給料でヘブン宅の女中をつとめることになったことで、ここからどんどん二人が親密になっていくのかと思うところ、すんなりとはいかないところが飽きさせないつくりだ。
リヨはヘブンとの関係がうまくいくようトキに協力をお願いし、トキもそれを受け入れる。そのいっぽうで、リヨの父の知事は、1年で帰ってしまう西洋人のヘブンとの恋愛には反対で、錦織(吉沢亮)に阻止を依頼する。その錦織はトキに協力を頼む。両者からの協力依頼に板挟みになるトキは、この展開においては完全なる部外者だ。そのようなわけで、三角関係の恋愛展開になりつつもハラハラするというよりもどこかニヤニヤしながら見てしまう。恋愛展開においてもこのドラマらしい、力を抜いた笑いが貫かれている印象だ。
