「イヤだと思ったら、やめてもいい」NHK夜ドラ「ひらやすみ」で衝撃を受けて考えたこととは?【一田憲子さん】
私たちは日々誰かの目にさらされながら生きています。「認められたい」「褒められたい」——そんな思いに知らず知らずに縛られてはいないでしょうか。エッセイスト・一田憲子(いちだのりこ)さんが、自身の葛藤や気づきをもとに、自分軸で生きるヒントを綴った新刊『褒められなくても、生きられるようになりましょう』が話題です。一部抜粋してお届けする第3回は、「褒められたい」を抜け出すためには?
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>>「その他大勢」がイヤなのはなぜ?承認欲求を整えて人間関係がラクになる方法【一田憲子さん】「売れなかったら負け」の世界から抜ける
NHKで『ひらやすみ』という夜ドラが放送されていました。月曜日から木曜日までの夜10時45分〜11時の15分間だけ。その短い時間での展開が、ちょっと見るのにちょうどよく、私はその時間はもう寝ているので、NHK ONEの見逃し配信で毎日昼間に見ていました。
岡山天音さん演じるヒロトは、たまたま知り合ったおばあちゃんが住んでいた、阿佐ヶ谷の平屋を譲られます。田舎から芸大に入学するため上京した従姉妹、森七菜さん演じるなつみちゃんと、その家で暮らす日常を切り取ったゆる〜い感じの物語です。
実はこのヒロトくん、かつては役者を目指していました。でも、自分には向いていないとやめ、今は釣り堀でアルバイトをしながら、毎日自分となつみちゃんのためにごはんを作り、ときには庭でラジオ体操をしたり、花火をしたりと、淡々となんだか愉快そうに暮らしています。
おばあさんが亡くなる前、「どうして役者を辞めたの?」と聞くと、ヒロトくんはこんなふうに答えました。「売れなかったら負け、っていう世界が、俺には合っていなかったんだ」。
ぼそりとつぶやいたこの言葉を聞いたとき、りんごを齧(かじ)りながら見ていた私は、思わずスマホを手に取って、この一言をメモアプリに打ち込んでいました。そっか。自分に合っていないと感じたら、イヤだと思ったら、やめてもいいんだって……。
今の世の中は、ほとんどこの「売れなかったら負け」で成り立っているような気がします。レストランも、洋服のセレクトショップも、儲からなくては成り立ちません。本を出しても売れなくちゃダメだし、音楽を作って歌っても、ヒットしなければならない……。その事実は確かに存在するけれど、そんな世界から「降りる」と自分で選択することはできる。それを決めるのは自分自身なのです。
