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朝ドラ『風、薫る』意地悪風味でイラッとさせる人物像の作り方—横澤夏子さすがの存在感と言っていいだろう

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田幸和歌子

文は直美と何か関係があるのか

さて、心機一転とばかりに始まった「新潟編」ともいえる物語は、ガラッと異なる雰囲気と新たな登場人物たちによって幕を開けた。これから働く女学校を探すりんが道をたずねようと声をかけたのが、地元の大地主の妻・テツ(横澤夏子)だ。

「東京らんだかね。道理で。すてきなおぐしですて」
と、東京からきたりんに若干の意地悪風味で新潟の洗礼を受けさせてくるインパクト、イラッとさせる人物像の作り方はさすがの存在感と言っていいだろう。

とはいえ新たに舎監として大都会東京からやってきたりんに、女学校の生徒たちは興味津々だ。寮での生徒たちとの生活が始まり、東京との考え方や文化の違いや看護婦以外の仕事にとまどったりしながらも少しずつ慣れていく様子が描かれていくのかと思いきや、あっという間に半年が経過してしまい、そういった過程がスキップされてしまった。気になるところではあるが、掘り下げていきたいのはそこではないということなのであろう。

朝ドラ『風、薫る』意地悪風味でイラッとさせる人物像の作り方—横澤夏子さすがの存在感と言っていいだろう(画像6)

「風、薫る」第78回より(C)NHK

朝ドラ『風、薫る』意地悪風味でイラッとさせる人物像の作り方—横澤夏子さすがの存在感と言っていいだろう(画像7)

「風、薫る」第78回より(C)NHK

新潟編では物語の序盤で強く描かれてきた当時の「家」というものへの感覚が再び浮き彫りにされてきた。造り酒屋の嫁であるサワ(磯山さやか)は、実母が体を壊したことで病院に連れていきたいが、夫はそれを許さない。サワはりんが舎監をつとめる女学校の生徒・久(近藤華)の母である。結局、サワは母の力になることはできなかったが、夫はそれを寿命だったのだろうと冷たくあしらう。たまらず娘のいる寮へと駆け込むサワの姿に、自分の未来を見るような気がして「お母さんのようになりたくない」と、不安をつのらせる久。それでいて、母に自分の人生をちゃんと歩いてほしいという親想いな心も同居する。

これまで日本初のトレインドナースという、女性の新たな時代を切り拓く存在にスポットをあて、りんや直美ら新たな時代を背負う女性像が描かれてきたが、その一方で世の中の大多数、東京以外の町は相変わらず「家」の呪縛は強いことをあらためて突きつけられる。りんもまた、夫(三浦貫大)の理不尽さに耐えかね飛び出してきたわけだが、看護の道から離れたりんが、この先、どう舎監としての立ち居振る舞いを見せてくれるのか、今度こそ「また間違えた」と言わず舎監としてつとめあげていくことができるのか、気になるところだ。

りんと美津、久とサワという二組の母と娘の姿に今週スポットが当たったところで、直美とその産みの親である夕凪についても気になる展開が待ち受けていそうな気配である。瑞穂屋で働く文(内田慈)が倒れ、文もまた、直美がこれまでもどかしい思いをしてきた長屋のひとびとと同じようにお金がないからと治療をこばみ、結果的に直美が看病する。そんな文の枕元にあった布、それは、直美がずっと身につけてきたお守りと同じ柄だったのである。それが何を意味するのか。文は直美と何か関係があるのか。

母と娘という関係性のもと、新潟と東京、ふたつの街を舞台に物語は目まぐるしく展開していく。

朝ドラ『風、薫る』意地悪風味でイラッとさせる人物像の作り方—横澤夏子さすがの存在感と言っていいだろう(画像8)

「風、薫る」第80回より(C)NHK

朝ドラ『風、薫る』意地悪風味でイラッとさせる人物像の作り方—横澤夏子さすがの存在感と言っていいだろう(画像9)

「風、薫る」第80回より(C)NHK

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