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朝ドラ『風、薫る』平蔵(太田光)の言葉が問いかける、戦争と「生き残る」ということ

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田幸和歌子

朝ドラ『風、薫る』平蔵(太田光)の言葉が問いかける、戦争と「生き残る」ということ

「風、薫る」第105回より(C)NHK

1日の楽しみは、朝ドラから! 数々のドラマコラム執筆を手がけている、エンタメライター田幸和歌子さんに、NHK連続テレビ小説、通称朝ドラの楽しみ方を毎週、語っていただきます。近代看護界の先駆者となった2人の女性を主役とする物語。「風、薫る」のレビューで、より深く、朝ドラの世界へ!
※ネタバレにご注意ください

▼前回はコチラ▼

>>朝ドラ「風、薫る」爽やかな恋愛が展開!直美のモデルとなった女性も陸軍少佐と結婚していた…

戊辰戦争の生き残りだという平蔵(太田光)

『明治のナイチンゲール 大関和物語』(田中ひかる著・中央公論新社)を原案とし、激動の明治時代を駆け抜けた二人のナースを、見上愛・上坂樹里のダブル主人公として描くNHK連続テレビ小説『風、薫る』の第21週「定めと選択」が放送された。

明治から昭和初期を舞台にした朝ドラでは、戦争や関東大震災などが物語の大きな山場に関わってくることは珍しくない。

今週の後半、本作にも戦争の影が忍び寄ってくる。

チュウ(若林時英)が何気ないふうに手に取った新聞には「政府軍隊を派遣す」という見出しで朝鮮への軍隊の派遣を告げる記事が書かれていた。朝鮮での農民の反乱を鎮圧させるために清国に派兵を要請したのだが、これを脅威と感じた日本政府は軍隊を派遣し大本営を設置した。これがのちの日清戦争へとつながっていくきっかけとなる。

直美(上坂樹里)の夫・吾郎(甲斐翔真)は軍に所属する。吾郎にも出征の可能性はあるのだろう。「牛肉と馬鈴薯の煮付け」を作りながら、「出征したらずっと炊事班長がいいな」と思わず口にする。

「やっぱり好きじゃない軍人は」
と、直美は本音をもらす。お国のためよりも吾郎の命がと言いかけて吾郎にとめられるが、のちに「非国民」と罵倒される世の中へと続いていく。

朝ドラ『風、薫る』平蔵(太田光)の言葉が問いかける、戦争と「生き残る」ということ(画像2)

「風、薫る」第105回より(C)NHK

女性が働くこと、男女の考え方などは直美たちが看護婦になっていくにあたり何度となく描かれてきたように、本作は現代の視点を通しながら明治の世を描いてきた。戦争についても、平和というフィルターを本質としてとらえながら描かれている姿勢がよく分かる。

「面白えな。命を助ける看護婦と戦をする軍人の夫婦。まるっきり逆じゃねえか」
直美が無償で看護する患者の平蔵(太田光)にそう言われる。
「生き残るんだったら手柄なんか立てようとせず、じっとしてることが一番だ。死んじまったら意味もねえ」

戊辰戦争の生き残りだという平蔵。それだけで平蔵が身を持って感じた戦争のむなしさが感じられる。そんな自らの経験から命の大切さを直美に説く。古代より繰り返され今なお各地で紛争も耐えない歴史のなか、戦争と生命の関係、生命の重みを実感させてくれる描写が増えてきそうな雰囲気だ。

朝ドラ『風、薫る』平蔵(太田光)の言葉が問いかける、戦争と「生き残る」ということ(画像3)

「風、薫る」第103回より(C)NHK

週の前半の舞台は朝鮮への軍の派遣より2年ほど前の世界だ。シマケン(佐野晶哉)の新聞連載が決まる。シマケンの夢が叶った。シマケンと思いを通わせるりん(見上愛)にとってはシマケンの喜びは自身の喜びでもあり、明るい未来にもつながっていくことだ。

それを告げ、「それって結婚ってこと?」と、しのぶ(木越明)に笑顔で言われるなどして静かに盛り上がるが、掲載される予定だった日の新聞にはシマケンの名前がなく、別の連載小説が掲載されていた。大広告主の親族の作品に差し替わったのだとという。

朝ドラ『風、薫る』平蔵(太田光)の言葉が問いかける、戦争と「生き残る」ということ(画像4)

「風、薫る」第102回より(C)NHK

朝ドラ『風、薫る』平蔵(太田光)の言葉が問いかける、戦争と「生き残る」ということ(画像5)

「風、薫る」第102回より(C)NHK

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