人生相談室
不安な気持ちに支配されがちな人へ。武田双雲さんの提案。「『ありがとう』を繰り返すと、本当にありがたいことが起こる」
いらいら、モヤモヤが一掃できたらどんなにいいか……。だれもがそう思っています。それが叶う方法を、書道家の武田双雲さんにアドバイスしていただいた第２回。いつも不安だったり、やる気が出なかったり、夫へのストレスが積もったり、４件の人生相談に答えます。
武田双雲
たけだ・そううん●書道家
1975年、熊本県生まれ。東京理科大学卒業後、NTTに就職。約3年後に書道家として独立。NHK大河ドラマ「天地人」や世界遺産「平泉」など、数々の題字を手がける。著書は60冊を超える。近年、現代アーティストとして 創作活動を開始し、2015年カリフォルニアにてアメリカ初個展、19 年アートチューリッヒ、21年ボルタ・バーゼルに初出展。
https://www.souun.net/
相談１
物事を悪いほうへと考えがち。不安な気持ちに支配されています。
若い頃から自分に自信がもてないほうだったのですが、年を重ねて、物事を悪いほうに想像しては不安にうなることが増えてきました。「日ちを間違えていたらどうしよう」「メ ールが届いていなかったらどうしよう」……特に悪いことばかり起こってはいないのに、つい不安になってうつうつしてしまいます。気持ちを前向きに変えるにはどうしたらいい のでしょう。（61歳・東京都）
武田双雲さんの提案 マイナス思考の人こそ 〝感謝メガネ〞を! いいこといっぱい発見
ご存じですか? 人間は2つの感情を同時に抱えることができないんです。喜びながら不安にはなれないし、楽しみながら不安にはなれません。不安を意思の力だけで前向きに変えるのは難しいので、別の感情に置き換えてしまうのが近道です。
実はぼく、感謝オタクです。いつも“感謝メガネ”をかけて生きています。「天気がいいなぁ」「雨が降っ てくれた」「今日も家族が生きててくれた」「うわ、水道から水がちゃんと出た」と、この世のすべてに感謝しています。「ありがとう」って手を合わせていると、不安なんて入り 込む余地がなくなるんです。
ポジティブになるには、体調がいいとき、環境が整っているときでないと難しいものです。でも感謝は手軽。元本保証で利子もつきます(笑)。 ホントです。「ありがたい、ありがたい」を繰り返していると本当にありがたいことが起きるんですよ。ぜひ試してください。
相談２
いつかやりたいと思っていたのに いざとなったら面倒になって 。
仕事を辞めたら、旅をしたい、習い事もしたい、語学の勉強を始めたい、学生時代の友人と会いたい……楽しいことをいろいろ思い描いていたのですが、実際に退職して時間が できたら、腰が重くなって、どうもやる気が出てきません。好奇心が薄らいで、ひとり暮らしの家にこもりがちです。このまま年をとってしまっては後悔すると焦りばかりを感じ ています。（65歳・東京都）
武田双雲さんの提案 「いつかやりたい」の賞味期限が切れただけ。夢の練り直しを!
好奇心が薄れたわけではなく、「いつかやりたい」と思っていたことの賞味期限が切れてしまっただけのことじゃないですか? 「やりたい」と思っていたのは、過去のあなた。 やりたいことをがまんし、やりたくないことをやっていたときのあなたです。「健康のためにブロッコリーと麦飯を先に食べなくちゃ」と頑張 っているうちに満腹になって、「パフェなんて食べなくていいよ、もう」になっちゃった、それが今のあなただと思います。
仕事を辞めて状況が変化した今、 夢を練り直す必要があります。心の声を聞いて紙に書き出したり、友達と話したりしながら、今本当にやりたいことを見つけましょう。見つか らないなら、とりあえず何か始めてみましょう。やる気スイッチは、やり始めないと出てこないもの。掃除だって、少し始めると乗ってきます。そんなふうに、今できる小さなことから始めましょう。
