【おひとりさまの危機管理】トラブルを回避して、不安なく暮らすために。ファイナンシャルプランナーが指南
おひとりさまでも楽しく、安心して暮らすためには、さまざまなトラブルに巻き込まれないための「危機管理」が大切。今回は誰もが被害に遭いやすい「お金のトラブル」を中心に、ファイナンシャルプランナーの佐藤彰さんに、注意すべきポイントなどを伺います。
インターネット関連の詐欺が急増。良好な人間関係が助けになる
昨今の社会不安や老後への不安につけ込んだ、「おひとりさま」のお金に関するトラブルが多発している。ファイナンシャルプランナーの佐藤彰さんは、「コロナ禍で友人・知人と直接コミュニケーションを取る機会が激減。『おかしいんじゃないかな?』と思っていても、身近な人に相談できず詐欺被害に遭うケースが増えています」と指摘する。
「新型コロナの影響でインターネット上の交流が活発化しましたが、詐欺に好都合な土壌にもなっています。怪しいと思ったら、信頼できる友人・知人や自治体・公的機関の窓口などに相談することをおすすめします」
他にも急な病気や認知機能の衰えのリスクなど、おひとりさまをめぐるトラブルはいろいろとある。
「ひとり暮らしこそ、お金と健康、人間関係という3つのバランスが大事です。資産といえばお金のことと思いがちですが、普段から健康に気を配り、周囲の人たちと良好な関係性を築くことも大切な資産。トラブルを寄せつけない、強固な自己や密接なつながりが助けになります」
佐藤さんが教える最近のお金トラブルの実例や、困ったときに役立つサービスを紹介しましょう。
SNSやマッチングアプリでの出会いから「ロマンス詐欺」急増中!
マチュア世代をターゲットにしたインターネット上の詐欺被害が相次いでいる。なかでも交流サイトやアプリで知り合った相手が、恋人や婚約者のように振る舞ってあの手この手で金銭を送金させる「ロマンス詐欺」が急増中。「今は仕事で海外にいるから」など「会えない」という設定が前提で、巧妙に写真や電話などを使ってリアルさを装いアピールしてくるのが特徴だ。「おや?」と思ったらすぐに周囲に相談を。
あなたの身近にもあるお金にまつわるトラブル例
「まさか自分が……」と思っていても見舞われてしまうのがお金に関するトラブルです。近年特に多発しているトラブル例を紹介します。
認知症になり、口座からのお金の引き出しや持ち家の売却などができなくなってしまった
利用口座が多い場合はいくつか解約して整理を
認知症で金融資産を管理できなくなったり、口座が凍結されたりするケースが増えている。元気なうちに任意後見制度や信託サービスなど、財産管理を身内や専門家に任せられるシステムの利用を検討して。複数の金融機関に口座を持つ場合は、今から数を減らしていくのがおすすめ。資産運用をリスクの低い長期的な商品に切り替えることも、資産を守る方法の一つ。
「短期間で儲かる!」と誘われて投資…… 返金してほしいのに、連絡が取れない!
おいしい話にはご用心。勧誘されても冷静に判断を
「元本保証」「今だけ」「人数限定」「短期間でリターンが得られる」などのあおり文句には要注意。知人を介した昔ながらの勧誘はもちろん、最近ではインターネット経由で知らない人から怪しい投資話や仮想通貨取引に勧誘されるケースも増えている。冷静に考えれば「そんなにおいしい話はない」と気づけるはず。少しでもおかしいと思ったら、周囲の人や相談窓口などに相談を。
インターネットのパスワードを推測されて、クレジットカードが不正利用されてしまった
パスワードは最初に推測されにくいものに設定
インターネット経由でパスワードを推測され、クレジットカードなどを不正利用される被害が増加している。パスワードは右の「心得」を参考に、推測されにくいものに設定して。「パスワードがわからない」というトラブルを避けるためにも、繰り返し変更するより、最初に推測されにくいものにすることが肝心。
【パスワード設定の心得】
●生年月日や電話番号などの推測されやすい数字や文字は使用しない
●パスワードの使いまわしはできるだけしない
●パスワードを手書きのメモに残すときは、人の目につかないところに保管
●頻繁に変えるよりも、最初に推測されにくいパスワードを設定することが大事
節約になるかもと始めたサブスク。解約方法がわからない……
契約前にサービスや解約方法をチェックして
お得なプランや無料期間につられて、つい契約してしまうサブスクリプション(定額制)サービス。すぐに解約できないようわかりにくい場所に解約ボタンがある、契約後しばらく解約できない仕組みになっていることも。契約前に契約内容や解約方法をよく確認して。解約後もクレジットカードの明細をチェックして、勝手に料金が引き落とされていないか確認すると安心。