「食費は月1万円」月5万円の年金でセンスよくやりくりする紫苑さん・72歳の節約&DIYライフ
月5万円の年金でやりくりする生活を綴ったブログが大人気の紫苑さん。お金の不安に押しつぶされそうだった3年前と比べ、節約生活が板についた今は心身ともにすっかり健康になったそう。「今が一番楽しい」という、創意工夫あふれる暮らしを紹介します。
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72歳・紫苑さんの安くて体にいい自炊生活。60歳から始めた節約生活が、新しい世界を開くきっかけに
PROFILE
紫苑
しおん●1951年生まれ。
地方新聞社勤務を経てフリーライターに。
2020年から月5万円でやりくりする節約生活を始め、少ない年金でも楽しく安心して暮らす工夫をブログで配信。新聞、雑誌、テレビなどでも取り上げられ、反響を呼んでいる。
ブログ「ひとり紫苑・プチプラ快適な日々を工夫」
『71歳、年金月5万円、あるもので工夫する楽しい節約生活』
月1万円レシピやリメイク、DIYなど衣食住の工夫から、不安や欲望とのつき合い方まで、紫苑さんの暮らしのエッセンスが詰まった一冊。
1540円/大和書房
69歳で初めてお金の不安と向き合う
30代で離婚し、フリーランスのライターとして働きながら、二人の子どもを育てた紫苑さん。
「若い頃は目の前の仕事や子育てに必死でした。生活に困らない程度の収入もあったので、お金の問題と正面から向き合ってはこなかったんです」と当時を振り返る。
ところが子どもたちが独立し自らも60歳を迎えると仕事が減り始め、この先の人生に不安を感じるように。賃貸住宅の家賃が負担になり、64歳で小さな中古の一軒家を購入した。
「家賃を払い続ける必要はなくなったものの、貯金はほぼゼロになりました。それでもこの頃はまだ仕事があったので、お金のことはあえて考えないようにしていましたね」
そんな毎日を襲ったコロナ禍。仕事はなくなり、いよいよ年金5万円での生活に直面せざるをえなくなる。69歳のときだった。
「遅すぎるスタートですよね。でもやるしかありません。とにかく月の支出を5万円以内に抑えることが私に残された道でした」
そこで最初に行ったのは大きな支出のカットだった。
「ちまちまとした節約では、とても追いつかなかったんです」
まず、一番大きな出費だった生命保険を解約。万一のときは高額療養費制度があると割り切った。スポーツジムも解約した。近所の土手で運動すれば十分。基礎化粧品もカット。冬場の乾燥対策にはホホバオイルを1滴つけるだけ。食生活の改善もあり、以前より美肌になったという。紫苑さんの生活に欠かせない本もできる限り図書館で借りて……。
こうして大きな出費を削り、改めて5万円の使い道を考えたところ、水道光熱費、固定資産税、健康保険料、通信費といった固定費を引いた2万円が、食費と交通費、医療費その他に使える生活費として残された。
「節約生活のスタートですね。この生活に欠かせないのは健康であること。健康を保つには食事と運動。節約生活を始めるに当たり、まず食事を充実させることを考えました」
月1万円の食費で 体にもいい変化が
2万円の生活費のうち、食費を1万円と設定した紫苑さん。節約生活を始めた頃は、やみくもに安い食材を買って無駄にしたこともあったそう。今はいわしと鶏むね肉をメインのおかずの基本と決めている。
「安くて栄養満点。味つけもアレンジがきき、飽きずに食べられます」
この他、豆腐、卵、旬の野菜、牛乳、さばやトマトの缶詰、わかめや昆布などの乾物が定番食材。季節にもよるが4日に一度程度、予算1000円前後で買い物に行き、足りないものを買い足していくスタイルだ。缶詰や乾物、味に変化をつけるために欠かせない調味料は特売やポイントで賢くゲット。きのこや野菜を干したり、豆腐を塩漬けにしたりと、日もちをよくする工夫もこらし、無駄なく使いきる。
「実はこれだと1カ月の食費が8000円くらいで賄えるんです。そうすると1000円ちょっと残ります。この1000円が大きいですね。大好きな貝類や豚のかたまり肉など豪華食材を買って楽しみます」
高い食材を使えばおいしくなって当たり前。低予算でいかに必要な栄養をとり、心まで満足させるか。
「料理は脳活でもありますね。何より、ずっと悩まされていた過敏性腸症候群が治ったのが嬉しくて。少し太れるようにもなって、見た目も若返ったかもしれません」
フードロスを出さないために
栄養バランスのいい食事を 心がける
いわしは節約料理の救世主です!
安くて栄養満点のいわし料理。つみれ汁、パン粉焼き、ごま焼き、塩焼き……と、飽きないように味つけは毎回変えている。