幸せな老後を送るための、和田秀樹さんからのメッセージ「どんなに年をとってもパートナーの存在は欠かせない」
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和田秀樹
人生の絶頂期はあとのほうがいいけれど……
著名なスポーツ選手の現役引退後は、また違った喜びや幸せをもたらす何かがあるとは思いますが、絶頂期の華やかな時期に感じた喜びを、引退後、同じように得ることはなかなか難しいのではないでしょうか。
「あのころがオレの絶頂期だった」と、すでに人生が終わってしまったかのようなことを言う人がいますが、どんな人であっても結局、人生のゴールを迎えるその日までは人生の華、人生の絶頂期は、なるべく後ろにもっていったほうが、その分だけ幸せが長続きすると思いませんか。
もちろん若いころは違います。わたしは、20代のうちに映画監督デビューしたい、30代では100万部の本を出したいと思っていましたが、いずれも実現できませんでした。しかし、いまとなってみれば、それを悔やむというよりも遅咲きであればあるほど、幸せを強く感じてきているように思います。
わたしが映画を初めて撮ることができたのは47歳のときですが、いまだヒット作を出したことはありません。もちろんヒット作は出したいと思っていますし、ヒット作が出ればまた次の映画を撮ることができると思うと、先の楽しみが広がります。映画監督は、年齢を重ねてもできるものなので、楽しみをあとに延ばすことができるのなら延ばせるだけ延ばせばいいと思っています。この先の人生にまだまだ絶頂期があるのだと思えば、それに向かう楽しみがずっと続いていくわけです。
ただ、楽しみを先にとっておこうと思っても、運命というのは誰にも予想がつかないものですし、年を重ねればどうしてもからだが衰えてくるので、元気なうちに行動に移しておくということもあるかと思います。
たとえば世界旅行に行きたいと思っている場合、一緒に行くパートナーと幸せの思い出が共有できて、その後もお互いに語り草にできるのでしたら、アクティブに動ける早いうちに実現させてもいいのではないでしょうか。世界旅行がゴールではなく、その思い出をいつまでももち続けられるというのは、これも楽しみがずっと続くということなのですから。
※この記事は『わたしの100歳地図 65歳を過ぎても幸せが続く鉄則』和田秀樹著(主婦の友社)の内容をWEB掲載のため再編集しています。
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