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【60代の住み替え】老後を見据えて戸建てからコンパクトなマンションに。ファイナンシャルプランナー・井戸美枝さんの実例[後編]

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ゆうゆう編集部

「終の住み処」への暮らし替えチェックポイント

転居先の環境がどんなに快適でも、老後資金が乏しくては生活を楽しめません。 失敗しない資金計画の立て方と転居先の選び方を、井戸さんに教わりました。

まずは住宅関連費用の老後資金を計算

住み替えを成功させるのに、最も重要なのが資金計画。自宅を売って住み替える場合、自宅売却益の範囲で買い替えて老後資金には手をつけないのが基本だ。

最低でも「介護と医療の費用(目安は1人800万円)+1年分の生活費の赤字額×余命(長く見て100歳まで)」(上の計算式)は手元に残そう。

仮に今70歳で生活費の赤字が月2万円、100歳まで生きるとすると、手元に残したい資金の目安は1520万円(800万円+24万円×30年)。

あなたはどこに住む?

❶自宅をリフォームして住み続ける

長く住んできた家は、水回りの設備などに不具合が出てきがち。玄関や部屋の仕切りに段差があると、転ぶリスクもある。最後まで自宅に住むつもりなら、暮らしやすくするリフォームを検討しよう。

ただし、漠然と施工会社に相談すると、費用がかさむことに。家族や子どもにも相談して、①予算はいくらか、②どこを優先的にリフォームするか、③介護保険のサービスが使えないかなどを事前に確認。

❷単身者マンションに転居する

ファミリー向けマンションは子どもが独立すると空き部屋ができ、光熱費が余分にかかることも。自宅を売却して廉価な単身者向けのマンションを購入すれば、老後資金に手をつけずに住み替えられ、生活費も抑えられる。

物件選びは介護を想定して、在宅でも介護サービスを受けながら生活できるかをチェック。駅近で買い物や通院に便利な場所、子どもや親戚の家とも近い場所が選択肢に。

❸サービス付き高齢者向け住宅に移る

自分で生活できるが、ひとり暮らしが心配な場合などは、「サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)」に移るのも一手。家賃は月20万円前後と割高だが、見守りや生活支援サービスなどが受けられる。

ただし介護度が上がると、別の施設へ移る必要があることも。①自分の望むサービスが受けられるか、②経営母体は安定しているか、③介護が必要になったとき移れる施設はあるかなどを確認。

❹「住宅型」有料老人ホームに入居する

食事や生活支援サービスを備えた施設。入居一時金は1000万円程度だが、一時金不要の施設もある。費用は、月額15万~20万円が目安。要介護になると、外部サービスを利用して介護を受ける。

施設選びでチェックしておきたいのは、①サービス内容、②料金は希望に合っているか、③終身の利用は可能か、④介護が必要になったときの対応はどうか、⑤経営母体は安定しているか、など。

❺体が不自由になったら「介護型」有料老人ホームに入居する

介護度が上がっても認知症が進んでも、24時間介護サービスが受けられ、基本的に終身の利用ができる。入居一時金や保証金は、地域や施設によってまちまち。月の費用は20万~30万円が目安だが、施設によって幅がある。

①サービス内容や料金はどうなっているか、②終身の利用が可能か、③経営母体は安定しているか、などをチェック。自分の希望を整理して探し、気になる施設は事前に見学に行こう。

※この記事は「ゆうゆう」2023年9月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のために再編集しています。

取材・文/本木頼子

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