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年金5万円でやりくりする紫苑さん72歳「高齢者向け・中古一戸建て選びの5つのポイント」とは?

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池内かずこ

年金5万円でやりくりする紫苑さん72歳「高齢者向け・中古一戸建て選びの5つのポイント」とは?

更紗のテーブルクロス、パッチワークのカーテンはブルー系で統一。広い開口部には、知人から譲ってもらった格子の障子を入れて和風テイストに。上部には、繊細な組子の障子を組み合わせて窓全体をカバーしています。

月5万円の年金でやりくりするには? 知恵と工夫をちりばめたセンスあふれる節約生活をつづったブログが大好評の紫苑さん。食、おしゃれ、住まいを6回に分けてご紹介する5回目は「住まい」にフォーカス。築40年の中古の住まいを購入、DIYで家じゅうコツコツ変身させた経緯や、おしゃれに見せるインテリアのポイントをうかがいました。   

★前回はこちら★

年金5万円でやりくりする紫苑さん・72歳。美容費をかけずに、きれいを楽しむコツは?

PROFILE
紫苑さん
しおん・1951年生まれ。
地方新聞社の東京支社勤務を経て、フリーランスのライターに。コロナ禍の2020年、月5万円の年金でやりくりする暮らしをつづったブログ「ひとり紫苑・プチプラ快適な日々を工夫」を開設。健康によい節約レシピ、おしゃれを生み出すリメイク術などが人気を集め、新聞、雑誌、テレビなどでも話題に。著書に『71歳、年金月5万円、あるもので工夫する楽しい節約生活』(大和書房)、『72歳ひとり暮らし、「年金月5万」が教えてくれたお金との向き合いかた40』。
ブログ「ひとり紫苑・プチプラ快適な日々を工夫」
https://blog.goo.ne.jp/sionnann

中古の1戸建てを購入して、コツコツDIYで快適な住まいに

紫苑さんが現在の一戸建てを購入したのは、今から7年前。65歳のときのことでした。当時を振り返っていただくと——。

「仕事を続けながら、大好きな着物を買い込んだり、ときには株に手を出して何百万も損をしたりするような浪費的な暮らしをしていたのですが、60歳を過ぎると子どもたちが次つぎと独立。ひとり暮らしには広すぎる家賃24万円のタワマンから、家賃13万円の古い公団に引っ越したものの、見栄もあった当時は落ち込んだものです。今とは価値観も考え方もずいぶん違っていたのですね」

ようやく古い公団に移ったとはいえ、まだ年金も受給前。家賃や保険、社会保険料、光熱費などの固定費が20万、食費や日用品などの生活費が約10万、月々30万円以上の支払いでは赤字の月もしばしばありました。

「貯金がどんどん目減りしていくことに不安はつのるばかりでした。それまでに支払ってきた家賃の総額を計算してみると、なんと5600万円余。必要経費だとしても、もったいないですね。今後は高額な家賃負担を減らせるように、都内や駅の近くにこだわらずに物件を探してみたものの、なかなか見つかりません。地方への移住も考えましたが、自分が暮らしているイメージは湧いてきません」

そんなある日、近所を散歩しているときに、中古の一戸建てが売り出されるのを見つけました。その家が気になり、しばらく様子を見ていたそうです。

「築40年、10坪強の土地付きで、60平米ほどの2階建てです。当初の売り出し価格ではとても買えないと思っていましたが、数か月の間にだんだんと値下がり。子供たちも同行して内見し、狭くてもひとりなら住めるかな……と思案していると、売主から値引きの提案があって」

貯金の範囲でまかなえる金額だったことで、購入を決めました。中古住宅の価格は変動することがあり、そのタイミングを見逃さずに交渉・決断することもリーズナブルに手に入れるコツなのですね。

知人の画家からいただいた絵を中心にディスプレイ。ステンドグラスのランプはイタリア土産で、着物を譲った方からのお礼の品。

「家賃を払わずに住める“終の棲家”ができたことで肩の荷がおり、ホッとしました。それまでの広くて快適な公団暮らしに比べると手狭な感じで、窓から広がる気持ちのよい景観もないのは残念でしたが、屋根と壁があれば大丈夫、と」

その当時は今ほどの「節約マインド」はなかったそうですが、家賃の負担からの解放感は大きかったといいます。

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