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【光る君へ】紫式部(吉高由里子)と藤原道長(柄本佑)の印象的な出会いに、濃厚な人間ドラマが繰り広げられる予感大!

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志賀佳織

【光る君へ】紫式部(吉高由里子)と藤原道長(柄本佑)の印象的な出会いに、濃厚な人間ドラマが繰り広げられる予感大!

大河ドラマ「光る君へ」第2回より ©️NHK

2024年のNHK大河ドラマ「光る君へ」の放送がスタートしました。『源氏物語』の作者・紫式部のベールに包まれた生涯を、人気脚本家・大石静がどう描くのか? ここでは、ストーリー展開が楽しみな本ドラマのレビューを隔週でお届けします。今回は、第1回「約束の月」と第2回「めぐりあい」です。

いよいよ始まった2024年の大河ドラマ『光る君へ』。1000年の時を経て今に読み継がれる平安文学の傑作『源氏物語』の作者・紫式部の生涯を描いた作品だ。

彼女がどんな社会で生き、『源氏物語』はどんな背景の下に生まれたのか。それらがあの『ふたりっ子』や『セカンドバージン』の大石静の脚本で描かれるとあれば、貴族たちの権力争いや恋愛の駆け引きなど、濃い人間ドラマが展開するであろうことが想像できて、いやが上にも期待が膨らむというものだ。

物語を貫くひとつの大きなテーマは、その紫式部と時の権力者・藤原道長との生涯を通じての縁(えにし)、赤い糸で結ばれた因縁、ということであるらしい。これを吉高由里子と柄本佑が演じる。初回、第2回では、そんな2人がどうやって出会い、どのような「因縁」に囚われていくのか、その始まりが子役からスタートして描かれた。

初回冒頭、最初に映し出されたのは夜空に瞬く星である。時は貞元二(977)年、登場するのは陰陽師の安倍晴明(あべのはるあきら/ユースケ・サンタマリア)。都に凶事が起きることを星が示しており、「今宵がその始まりだ」と告げる。その予言のとおり、その夜、大雨が降り始める。

そして俯瞰で映し出されるのが、後の紫式部、まひろ(幼少時代・落井実結子)の一家が眠る屋敷だ。雨漏りに8歳のまひろが飛び起き、一家は大わらわ。この畳み掛けるような冒頭の一連のシーンだけで、これから何がこの一家に降りかかるのかと、見る側はぐいぐい引き込まれていく。

まひろの父・藤原為時(岸谷五朗)は藤原北家一族に属する下級武士。博学だが不器用で世渡り下手、5年間も官職を得ておらず、雨漏りする屋根を直すこともできない。母・ちやは(国仲涼子)はそんな夫に尽くし、まひろとその弟・惟規(のぶのり)を愛情深く育て、明るく一家を支えている。

漢籍(中国の書物)を音読する父のそばで、雨に濡れた廊下を拭き上げながらそれを諳んじているまひろ。父と同じく文学を愛し利発な少女であることがわかる。

ある日、うっかり鳥かごの鳥を逃してしまったまひろは、探しに出た川べりで後の藤原道長、三郎(幼少時代・木村皐誠)に出会う。鳥を逃して涙ぐむまひろを笑わせようと、道長は「自分は足で字が書ける」と言って、枝を足の指に挟み自分の名前を書いてみせる。

ふと見ると、その足には大きな傷がある。それは次兄・道兼の暴力を受けたときに負ったものだった。

まひろは三郎から枝をとって、漢籍『蒙求(もうぎゅう)』の冒頭を書いて「続きを書いて」とせがむが、下人に扮して出かけてきた三郎は「俺は貴族の子ではないから、名前が書ければいいんだ」と嘘をつく。

そして、まひろに「お前は女子(おなご)なのに、なぜ漢文が書けるのだ」と尋ねる。まひろはまひろで「私は帝の血を引く姫だから」と、とっさに空想の翼を広げてしまう。

信じた三郎はまひろを「姫」と呼び、無礼な口を利いたおわびに菓子をくれた。2人は約束をして再会を果たす。そこでまひろは嘘をついたことをわびる。笑い合う2人は6日後にもまた会うことを約束して別れた。

大河ドラマ「光る君へ」第1回より ©️NHK

こうした2人の出会いを描きながら、その周囲は慌しく、きな臭く動き始める。三郎の父・藤原兼家(段田安則)の野心、また、長兄・道隆(井浦新)、次兄・道兼(玉置玲央)との確執、姉・詮子(あきこ/吉田羊)の円融天皇(坂東巳之助)への入内など、三郎を取り巻く上級貴族の権力や背負うものの重さがどのようなものかが明らかになっていくのだ。

一方、まひろの父・為時は、三郎の父・兼家より、ようやく「職」を与えられる。兼家が禄(ろく)を払うので東宮である諸貞(もろさだ)親王(本郷奏多)に漢文の指南をせよというものだ。そして「東宮様の様子をつぶさに知らせてほしい」と命じられる。つまりそれは、宮中でのさらなる出世を求める兼家が、為時を間者(スパイ)にして情報を得たい、ということでもあった。

父が官職を得られるように神社に願掛けに通っていた母・ちやはは、まひろを伴って御礼参りに出かける。しかし、まひろは心ここにあらずで帰りを急ぎたがる。その日は三郎と会う約束をしていたからだ。

飛び出したまひろは馬に乗って通りかかった三郎の兄・道兼を落馬させてしまう。気性の荒い道兼が怒ってまひろを蹴飛ばしたところへ、わびて止めに入る母。道兼も馬に戻るが、「道兼様を黙らせるとは、肝の据わった女子でございます」という従者の一言に逆上。従者の太刀を抜いて、去りかけたちやはの背中を一突きし、絶命させてしまうのである。

その夜、母の亡骸を前にして父はこう言う。「母は病で死んだことにする」。納得のいかないまひろは、父に食ってかかるが父は聞き入れなかった。

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