【光る君へ】惹かれ合う紫式部(吉高由里子)と藤原道長(柄本佑)。身分の差、母の死をめぐる因縁とどう向き合っていくのか?
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志賀佳織
第4回「五節の舞姫」の冒頭、この謎の男は自らを「直秀」と名乗って去って行く。
まひろは三郎に自分は藤原為時の娘であると告げ、三郎も正体を明かそうとしたそのときに、為時の友人・藤原宣孝(佐々木蔵之介)が声をかけてくる。話途中で宣孝に連れ帰らされることになったまひろ。見届けて帰りかける三郎に、先ほどの直秀が現れてこうつぶやく。「もう散楽には来るな。娘の心をもてあそぶのはよせ。右大臣の横暴は、内裏の中だけにしろ」。
永観二(984)年、円融天皇が譲位し、その甥で東宮の師貞(もろさだ)親王(本郷奏多)が即位して花山天皇に。懐仁親王も東宮になった。まひろの父・為時も、12年ぶりに官職を得ることになった。
しかし、退位に際しての挨拶のため内裏に円融天皇を訪ねた詮子は、天皇から思いもかけない言葉を投げかけられる。「朕(ちん)に毒を盛ったのは、お前と右大臣のはかりごとか」。驚き戸惑う詮子。「懐仁が東宮となるために朕は退く。されど、お前のことは生涯許さぬ。二度と顔を見せるな。去れ!」。
投げつけた扇が詮子の頬に当たり、傷から血がにじむ。「人のごとく血なぞ流すでない。鬼めが」。第4回の中でも特に印象に残る台詞である。
詮子は東三条殿で行われている父と三兄弟の祝宴の席に乗り込み、天皇に毒を盛ったのかと父に詰め寄るも、父はしらを切り通す。その様子を見てすべてを悟った長男・道隆(井浦新)は言う。「これで父上とわれら三兄弟の結束は増しました。何があろうと父上をお支えいたします」。一方、道長は、自分の一族の進みつつある道の恐ろしさに顔を引きつらせるのだった。
そんな折、宮廷行事の「五節(ごせち)の舞」で、まひろは左大臣の娘・倫子の代わりに舞を舞うことになる。倫子が、女好きの花山天皇の目に留まることを恐れて代わりを頼んだのだった。
だが、舞いながらふと目をやった参列者の中に、居眠りしている三郎の姿を認める。さらに、その三郎の隣には、あの母を刺した道兼が座っているではないか。舞い終えたまひろは、姫たちの話から、三郎が右大臣・藤原兼家の三男・道長で、その兄が道兼なのだと知る。衝撃を受けたまひろはその場で気を失ってしまう――。
まひろの文学的才能が徐々に芽生えるとともに、まひろと三郎・道長の運命の輪も徐々に回り始めた今回。この時代には決定的な身分の差、さらに「母の死」をめぐって相対する立場、2人を隔てるものが生易しいものではないことが次々に明らかになっていく。それでも、「心の声」を交わし合える2人。世の中にそんな相手はそうそういるものではない。うーん、ますます物語の行方から目が離せない! 胸をときめかせて次回を楽しみに待とう。
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