【中野翠のCINEMAコラム】宮殿内部や ゴージャスな衣装の数々はさすがフランス!『ジャンヌ・デュ・バリー 国王最期の愛人』
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中野翠
ユニークな視点と粋な文章でまとめる名コラムニスト・中野翠さんが、おすすめ映画について語ります。映画の舞台は、18世紀のフランス、ヴェルサイユの宮廷。国王・ルイ15世の最後の公式の愛人となったジャンヌ・デュ・バリーの波乱に満ちた生涯が描かれています。
タイトルから察しがつくように、フランスのルイ15世が君臨していた18世紀の話。池田理代子さんのマンガ作品『ベルサイユのばら』はルイ16世の時代だったから、その少し前ということになる。
貧しい私生児として生まれ、娼婦のような暮らしをしていたジャンヌ・デュ・バリー(マイウェン)は美貌と才気に恵まれて、またたく間に貴族の男たちに大人気に。ヴェルサイユ宮殿に招待されるほどになった。
それだけではない。当時の国王ルイ15世(ジョニー・デップ)との対面を許され、アッと言う間に、二人は恋に落ちるのだが……何しろ、ジャンヌは最底辺の生まれ育ち。平然とマナーやルールを無視するジャンヌは完全に孤立。のちにルイ16世の王妃となるマリー・アントワネットにも嫌われていたというのだが、ジャンヌはルイ15世の死後も彼を愛し続けていたという話――。
私の好みを言わせてもらえれば、監督にして主役のジャンヌ・デュ・バリーを演じたマイウェンに関して、いささかの不満あり。イマイチ、老け顔(理知的な顔というべきか?)なんですよね……。監督・脚本を手がけたうえに主役も……というのは、やっぱり少々、キツかった……。
それでも、ヴェルサイユ宮殿の内部や、数かずのゴージャスな服――女ばかりではなく、男のファッションも「さすが、フランス!」という見ごたえあり。
『ジャンヌ・デュ・バリー 国王最期の愛人』
監督/マイウェン
出演/マイウェン、ジョニー・デップ 他
2月2日よりTOHOシネマズ シャンテ 他 全国公開(フランス 配給/ロングライド)
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さて。2月9日公開予定の映画『瞳をとじて』。こちらも断然、オススメします。監督・脚本はスペイン映画界を代表するビクトル・エリセ。1940年生まれの83歳。『ミツバチのささやき』(’73年)、『エル・スール』(’83年)、『マルメロの陽光』(’92年)、そして今回の『瞳をとじて』(’23年)――。作品は少ないものの、すべて上等。
『瞳を閉じて』は、ある映画の撮影中に主演俳優であるフリオが失踪。投身自殺と断定されたが、遺体は見つからず。さて、それから22年後、フリオの親友だったミゲルのもとに意外な情報が届いた……という、ミステリ風味の展開。やっぱり胸にしみました。
※この記事は「ゆうゆう」2024年3月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のため再編集しています。
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