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【虎に翼】娘(伊藤沙莉)の背中を押す存在となる母(石田ゆり子)の意地。迫力の演技に魅せられた第1週

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更新日

田幸和歌子

「虎に翼」第2回より(C)NHK

第1週は、母と娘の心の通じ合いのようなものが軸となって描かれた。

その寅子に「最大の敵」のような言われ方までされ、「はて?」「はて?」と疑問を感じ続ける大きな存在が、母・はる(石田ゆり子)だ。寅子の頭の良さも十分わかっていながらも、女学校で学んだ知識は「学んだ知識はよい家庭を築くためにお使いなさい」とキッパリ言う。もっとも、口や態度ではそう言うものの、寅子に本当に抱いている思いや期待を心の奥に閉じ込めている様子を言外に感じさせてくれる迫力ある演技には目を引かれる。

朝ドラでよくある、自立しようとする女性に対し、昔ながらの考え方で壁となる父親の役割が本作では母親なのかと最初は思った。しかし、実は母も優秀な女性であったものの、女性であるゆえにあきらめ、結婚という形での幸せを選択するしかなかった存在として描かれている。

結果として娘が女性だから無理だと言われることに反発し、自分自身の意地を見せるよう、背中を押す存在となることにも新たな朝ドラの母娘像を見た気がして驚かされた。

石田ゆり子もまた、台所仕事をしている背中だけで感情の起伏が見てとれる。伊藤沙莉の表情や身体全体で感情を表現する演技、石田ゆり子の背中に静かな怒りをたたえる演技、それらを演出やカメラワークによって際立たせる点も見事だった。

尾野真千子、伊藤沙莉、石田ゆり子という3人の女性がしっかりと地に足をつけた表現を見せてくれたことで、他のキャスト陣の強烈なキャラクターの個性もより際立つ。 第2週で登場する明律大学女子部の面々もまた、次々掘り下げていきたくなるキャラクター目白押し。次は誰に注目しようか、よりどりみどりの贅沢な悩みが続きそうだ。

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