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【虎に翼】寅子(伊藤沙莉)たちが直面した壁は、現在もそこここに存在するのではないか?3分間の演説に圧倒された第6週

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田幸和歌子

「虎に翼」第28回より(C)NHK

寅子や久保田は“一番優秀だから”合格したのか? いや、優秀であったかもしれないのに、さまざまな理由によってあきらめざるを得なかったり、正当な評価を下されなかったかもしれない共に学んだ数々の仲間たちがいた。そして、世の中には大学に行き法を学び試験を受けるという選択肢を選べない境遇、さらには学ぶという選択肢があるということすら知らない女性だってたくさんいる。栄光をつかんだはずなのに、やったー! 受かった! と脳天気に喜べないむなしい勝利が寅子の心を空虚にする。

「生い立ちや信念や格好で切り捨てられたりしない、男か女かでふるいにかけられない社会になることを私は心から願います!」

寅子は宣言した。胸が締め付けられるような熱い思いだ。しかし、ここで見ている現代の我々のような思いを抱くことができる人が多数ではない時代だ。寅子のメッセージに共感し、拍手などを送ったのは恩師の穂高(小林薫)をはじめ、同級生の花岡(岩田剛典)、轟(戸塚純貴)らほんのわずか。「場をしらけさせた」という扱いで、ほとんどの報道機関には「場がしらけた」と、この快挙はスルー。ただ一社だけ、前週の「共亜事件」の際にも報道の立場から寅子たちを見守った記者の竹中(高橋努)の帝都新聞をのぞいては——。

寅子たちが直面した、女性であることでの壁。それは令和の現在もそこここに理不尽な線引きが存在することを思い出させてくれ、何十年たっても変わらない部分があることを毎週のように突きつけられ、いつか変わる日がくることを祈らずにはいられなくなる。

寅子や久保田、中山は、梅子や涼子の無念を背負ってがんばる、といった単純な友情物語ではない。合格はゴールではない。寅子ら勝者には、ここからさらなる大きな壁、現実が立ちはだかってくることが予測される。寅子はどう戦うのか。次週から新たなターンに突入する物語に注目だ。

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