【虎に翼】寅子、再生!翼は失われてはいなかった。そしてまた、法の世界で幸せを勝ち取りにいく
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田幸和歌子
かつて寅子は、かつて一緒に学んだ友たちが次々舞台から降りていく様に、「私だけ」と、一人で大きな荷物を背負って戦っていた。そんななか、もともとは目的のために結婚した優三がそれを一緒に背負ってくれるような大切な存在だと気づくが、それも戦争によって奪われ、また一人になった。もちろん母や弟、娘など大切な家族はいるが、どこか寅子はずっとひとりなのである。当然愛情をもって子育てはしているだろうが、「女性の喜び=母であること、子育て」を強調するような描き方はされない。もう天を駆ける翼はなくなってしまったのだろうか。
新聞に書かれた日本国憲法を目にしたとき、
「トラちゃんができるのは、トラちゃんの好きに生きることです」
優三の姿と言葉がよみがえる。
「僕の大好きな、何かに無我夢中になってる時のトラちゃんの顔をして何かをがんばってくれること。いや、やっぱりがんばんなくていい。トラちゃんが後悔せず心から人生をやりきってくれること。それが僕の望みです」
六法全書を封印したときに号泣した寅子は、優三の死に際して泣くような姿を見せずにきたが、ここでついに優三の死と向き合い、その存在の喪失を現実のものととらえた。そして、激しく泣いた。翼は死とともに失われたのではない。その思い出や記憶とともに永遠のものとなって、寅子に新たな一歩を踏み出させるのだ。
寅子の目に光が宿った。そして、直明に、「私の幸せは私の力で稼ぐこと。自分がずっと学んできた法律の世界で」こう力強く宣言する。
寅子、再生。そしてまた、法の世界で幸せを勝ち取りにいく。
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