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【虎に翼】寅ちゃん(伊藤沙莉)のモデル 三淵嘉子さん 誕生〜30代の半生をたどる。「真剣に生きるため」に選んだのは?

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鷹橋 忍

NHK朝ドラ『虎に翼』も残すところあとわずか。登場人物のモデルが気になっている方、多いのではないでしょうか。作家 鷹橋 忍さんが、その実在モデルと思われる人物をひも解く、最終回は、主人公、寅ちゃんこと猪爪寅子のモデル 三淵嘉子さんについて。前編では、誕生から30代半ばまでの足跡をたどります。

▶️▶️後編はこちら
【虎に翼】のモデル 三淵嘉子さんの後半生をたどる。愛情の深さをうかがうことができる、その選択とは?

大評判となったNHK朝の連続テレビ小説『虎に翼』も、今月で終わりですね。

最終回に向けて、これまでの復習を兼ね、主人公・猪爪寅子のモデル三淵嘉子さんの生涯を、駆け足でたどってみたいと思います。

名前はシンガポールに由来

三淵嘉子(旧姓・武藤)は、武藤貞雄(ドラマでは岡部たかしさんが演じた猪爪直言)と武藤ノブ(信子/ドラマでは石田ゆり子が演じた猪爪はる)の長女です。

父・貞雄は東京帝国大学法科を卒業したエリートで、台湾銀行に勤めていました。

ノブと結婚してすぐにシンガポールに転勤となり、妻とともに赴任。シンガポール滞在中の大正3年(1914)年11月13日に、嘉子が生まれたのです。

嘉子の「嘉」の一字は、シンガポールの漢字表記「新嘉坡」に由来します。

ドラマの寅子には上川周作さんが演じた猪爪直道という兄が存在しましたが、嘉子に兄はおらず、いるのは四人の弟です(長男の一郎、次男の輝彦、三男の晟造、四男の泰夫)。

東京へ

大正5年(1916)、嘉子が2歳の頃、父・貞雄はニューヨークに転勤となりました。

嘉子と母・ノブは貞雄の赴任地へは行かず、香川県丸亀市にある母・ノブの実家で数年間を過ごしました。

大正9年(1920)貞雄が東京勤務となると、嘉子たちも東京に移転します。
嘉子たちは渋谷区を経て、麻布笄町(港区麻布地区に存在した旧町名/嘉子の家は現在の港区西麻布四丁目)で暮らしました。

法律の道を志す

嘉子は昭和2年(1927)4月、東京女子高等師範学校附属女学校(現在のお茶の水女子大附属高校)に入学しました。

女性は結婚して家庭に入るのが当たり前の時代でしたが、嘉子は卒業が近づくと、当時としては非常に進歩的な考えを持っていた父・貞雄のアドバイスを受け、法律を学ぶ決意を固めます。

昭和7年(1932)4月、嘉子は明治大学専門部女子部(明治大学短期大学の前身)の法科に入学します。

明治大学女子部は法科と商科の二科があり、昭和4年(1929)に開校しました。創設の中心人物の一人・穂積重遠は、ドラマで小林薫さんが演じた穂高重親のモデルではないかといわれています。

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