「加湿器のなかでも特に粘膜にいい種類は…」【花粉症対策】耳鼻咽喉科医がすすめる家電活用法
暖房器具選びはライフスタイルにあわせる
粘膜にとって、加温も重要です。
部屋を暖かく保つほうが、感染に強い粘膜になります。鼻やのどには血管が張り巡らされているので、暖かい環境のほうが機能しやすくなります。冷えると血管が収縮して、うまく機能しにくくなるのです。
また、加温は加湿に直結します。
気温が高ければ高いほど、空気中に多くの水分を含むことができます。空気中に同じ量の水分が含まれていたとすると、気温が高くなると湿度は低くなり、気温が低くなると湿度は高くなります。
たとえば、空気中の水分量が4g/m³の場合、気温7・5℃だと湿度50%ですが、これが23℃だと湿度20%と大きく低下します。同じ湿度50%でも、気温が違うと空気中に含まれる水分量は大きく違うことになるのです。
粘膜にとっては、空気にどれだけ水分が含まれているかが重要ですから、湿度だけでなく温度も気にしないといけないのです。
冬に暖房器具をつけると湿度が下がります。気温が低いと空気中に含まれる水分量が少ないためです。暖房器具をつけるときには、室温だけではなく、湿度にも気を配らないといけません。
暖房器具にはいろいろな種類があります。
エアコンは暖かい空気を循環させて、部屋全体を効率よく暖めます。しかし、エアコン は送風口が高い位置にあるので、暖かい空気が床まで下りてきにくく、部屋全体が暖かく なるまで時間がかかります。また、エアコンは空気を循環させるので、粘膜や肌から水分を奪いやすく、加湿という面では不利な暖房器具です。
電気ストーブやセラミックファンヒーターは、置く場所をとらず火災の心配も少ないという長所があります。しかし、暖かくなる範囲が狭いので、体の近くに器具を置かないといけません。
オイルヒーターは、電気で加熱したオイルをパイプ内に循環させて熱気をつくります。空気を汚さず、風も発生させないので、自然に部屋を暖めることができます。しかし、パワーがないので広い部屋を暖めることは苦手で、暖かくなるまで時間がかかります。
ファンヒーターは、すぐに部屋を暖めることができ、送風口が床に近いところにあるので足元から部屋を暖めることができます。そして、ガスや石油を燃料としているので加湿効果があります。ガスや石油は、燃焼すると水を発生させるからです。ただし、ガスや石油を使った暖房器具を使用する場合は十分な換気が必要です。
ガスや石油を燃料とするストーブは、においがすること、やけどなどの事故が心配な面があります。ガスストーブはガス栓につなげばよいだけなので楽ですが、石油ストーブは給油の手間がかかります。
それぞれの長所短所を知って、自分のライフスタイルに合った暖房器具を選びましょう。