「加湿器のなかでも特に粘膜にいい種類は…」【花粉症対策】耳鼻咽喉科医がすすめる家電活用法
空気清浄機の選び方
部屋の中にはいろいろな種類の小さな粒が漂っており、それが鼻やのどに入ると感染やアレルギーを引き起こすことがあります。空気清浄機はその小さな粒を取り除き、鼻やのどの粘膜を守ります。
この小さな粒のことを「エアロゾル」といいます。
エアロゾルは、気体中に浮遊している粒子の径が60μm※ 以下の固体、または液体の微粒子です。空気清浄機HEPAフィルターでは、0・3μmの粒子を99・97%捕獲することができますから、エアロゾルをほぼ吸い取ることができます。
鼻やのどの粘膜に関係するエアロゾルには、唾液とアレルゲンがあります。
唾液は、大声で話したりせきをしたりすると、飛沫となって空気中に飛びます。大きい飛沫はすぐに落ちますが、エアロゾルは粒が小さく、空気中を長時間漂います。この唾液のエアロゾルにウイルスが含まれていて感染の原因になり、しかもエアロゾル感染は飛沫感染の原因になり、しかもエアロゾル感染は飛沫感染より感染範囲が広くなります。新型コロナウイルスのクラスターが発生したのも、このエアロゾルが原因といわれました。
空気清浄機で唾液のエアロゾルを取り除くと、ウイルス感染のリスクが下がります。
鼻やのどの粘膜を整えるためには、アレルギーを防ぐことも大切です。
スギ花粉やハウスダウトのようなアレルギー性鼻炎の原因となる物質を「アレルゲン」といいます。これらのアレルゲンは、高機能のフィルターでなくても集塵可能ですから、空気清浄機のフィルターをすり抜けることはありません。
しかし、じつは空気清浄機を置いても、部屋のアレルゲンの多くは取り除けません。
スギ花粉で考えてみます。
スギ花粉は30μmとちょうど小麦粉くらいの粒の大きさです。かなり大きな粒なので、空中を漂っている時間は1分くらいと、そう長くはありません。花粉は1秒間に3センチ落下するので、1分もすれば床に落ちてしまいます。だから、空気清浄機を置いても部屋に漂う花粉の10%ぐらいしか多くても吸えないのです。
床に落ちたスギ花粉は、人が活動するたびに空気中に舞い上がります。室内のスギ花粉を減らすには、空気清浄機で吸い取るよりも、部屋の床やテーブルをこまめに掃除することのほうが効果的なのです。
空気清浄機の選び方と使い方について説明しましょう。
空気清浄機を選ぶときにはフィルターの性能に目が行きがちですが、選択のポイントとして大切なのはじつは「風量」なのです。
風量が大きいものを選ぶようにしましょう。なぜなら、吸い込む空気が少なければ、空気をきれいにすることができないからです。現在の空気清浄機のフィルターの性能は上がっ気をきれいにすることができないからです。現在の空気清浄機のフィルターの性能は上がっており、通常の生活で使用する場合、その差はほとんどありません。
風量を確認するためには「最大適用床面積」を確認します。これは「30分で空気を清浄できる畳数」のことで、最大適用床面積が大きいほど空気を吸引する能力が高くなります。使用する部屋の2~3倍の広さを清浄できる製品を選ぶとよいでしょう。
空気清浄機を置く位置も大切です。
できるだけ体の近くに空気清浄器を置くことが効果的です。空気清浄器から近い場所のほうが、空気がきれいになります。したがって、鼻や目にできるだけ近いところに空気清浄機があるほうが高い効果が期待できるのです。
繰り返しになりますが、空気清浄機に装備されている加湿器は気化式です。病原体をき散らすことがあるので、使用する場合は注意が必要です。