【SUPER EIGHT 丸山隆平さん】「舞台で生まれる一瞬の奇跡。それをお客さんと感じたい」
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ゆうゆう編集部
SUPER EIGHTのベーシスト、丸山隆平さん。近年は役者としても目覚ましい活躍を見せていますが、このたびいよいよ舞台で初めての時代劇に挑戦します。作品は往年の名作『浪人街』。作品に懸ける思い、そして昨年20周年を迎えたグループ活動について今思うことも聞きました。
PROFILE
丸山隆平さん・SUPER EIGHT
まるやま・りゅうへい●1983年京都府生まれ。
SUPER EIGHTのメンバーで主にベースを担当。グループ結成は2002年。04年にCDデビュー。
音楽活動の他、俳優としてもドラマ、映画、舞台で活躍。
主な出演作に映画『泥棒役者』、ブロードウェイ・ミュージカル『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』など。
名作の主演を任された以上、ゼロからつくり上げる覚悟で
歌って踊れるアイドルグループであり、楽器を持つバンドであり、それぞれが関西人ならではの「笑い」を提供できるキャラクターをもち……という、まさにエンターテイナー集団である「SUPER EIGHT」。なかでも全方位にわたり才能を発揮しているのが丸山隆平さんだ。丸ちゃんの愛称で親しまれてきた丸山さんは、すでに40代。大人の男の色気も漂わせる。
その丸山さんが近年、活動の場として大事にしているのが舞台だ。社会派のテーマを扱った作品やミュージカルなど、次々と新たな境地に挑んでは私たちを楽しませてくれる。そしてこのたび、ついに本格的な時代劇に主演するというから、これは見逃せない。
「舞台で時代劇は初めてです。にもかかわらず新橋演舞場をはじめとする由緒正しい歌舞伎小屋でやらせていただける。この劇場で上演されることイコール、これはもう完全に本格的な時代劇を目指しているんだろうなと想像できました。そうであるからには、僕も覚悟をもってゼロから勉強させていただいてつくり上げたい。そう思ってお受けしました」
昔から言われていた「マルの時代劇が見たい」
演目は『浪人街』。もともとは脚本家・山上伊太郎が書き下ろし、1928(昭和3)年に監督・マキノ正博がメガホンをとって制作された『浪人街 第一話 美しき獲物』から始まるサイレント映画シリーズである。時代劇において初めて「集団殺陣」というジャンルを切り開いたことでも話題を呼び、これまでに何度もリメイクされてきた。その作品が舞台化される。
江戸時代末期、安政の江戸の町。はみ出し者たちが夜な夜な集う飲み屋に、丸山さん演じる新顔の浪人、荒牧源内(げんうち)が現れ騒動が巻き起こる。登場人物がそれぞれの事情を背負う中で、源内の背景も明らかになっていき……という物語。集団殺陣も見どころだ。
「今、時代劇を観る機会が減ってきて、わずかに上演される作品も、エンタメとしてかみ砕かれているものが少なくないでしょう。その中でこうした歴史的な名作がチョイスされて、かつその主演を任せていただけたのはとても光栄なことだと思っているんです。僕は今41歳なので、本物の時代劇を知る上の世代と、若い世代とをつなぐには、ちょうどいい年齢なのかなとも思う。若い方々には『こういう世界もあるんだ』と楽しんでいただきたいですよね。実はジュニア時代からお世話になっているうちのチームのスタッフさんが、ずっと『マルの時代劇が見たい』って言ってくれていたんです。だからその期待にも応えたい。あ、僕、羽二重かつらは似合うほうです(笑)」
序盤はつかみどころがなく軽薄な印象さえ受ける源内だが、徐々にその背負ったものがわかってくる。
「どの時代もその時代の社会があって、人はそれに巻き込まれながら生きざるをえない。人に見せられないような事情や過去を、源内だけじゃなく、みんな抱えているんだと思うんです。病名が異なるだけで、それぞれ何かしらの『病』はもっている。そんな人物たちに、きっと今を生きている皆さんも、思いを馳せて観ていただけるんじゃないかなと。源内は滅茶苦茶なんだけど、どこか寂しげな感じもある。背負った複雑なものがあって、妙な色気になっているところが魅力。佇まいからあの時代の『浪人』としての説得力を出せるように演じたいと思います」