韓国ドラマ【ホジュン】ダメンズのドジ(ナムグン・ミン)の屈折が止まらない 10〜18話レビュー
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藤岡眞澄
そんなジュンに大役が降って来た。中気(脳卒中)で重篤な高官の夫人を診ることになったのだ。懸命の治療にも関わらず、なかなか好転しない夫人の病状。高官はジュンの腕を疑う。
だが、同行したイェジンは「きっと大丈夫。私は信じます」と潤んだ瞳でジュンを励ます。そんなイェジンからの「お慕いしてます」の愛のコールサインに気づかないジュン。その鈍感さは困りものだ。
治療の最終手段としてジュンが刺した鍼が功を奏して夫人は快復し、自分の足で歩くことができた。感謝した高官は「機会があれば内医院を受験したい」と語るジュンの希望を叶えるため、内務院への推薦状を手渡す。「これさえあれば、科挙に合格して貧乏から抜け出せる……」。ジュンの心に“欲”が芽生えた瞬間だ。
高官の信頼も得て、トントン拍子に浮かれ気味のジュンに、ダヒは「自分の力で合格を」と釘を刺す。時折、道を踏み外しそうになるジュンには、この先の人生にも賢妻ダヒが必要、と印象づけるシーンだ。ジュンは気づいていないけれど、いつもダヒの掌の上にいる。
一方、ライバルのドジも黙っているはずがない。さっそく父に告げ口すると、ウィテはジュンの目の前で推薦状を焼き捨てた。「推薦状を受け取った瞬間、医師としての資格を失った」と言うウィテ。欲こそ、ウィテが最も嫌悪するもの。だからこそ、心を鬼にして、息子ドジよりジュンを重用してきたのに……。ジュンは破門された。
ジュンを助けたのは、やはりイェジンだった
自暴自棄になったジュン。そんなジュンを助けたのは、やはりイェジンだった。大風瘡病(ハンセン病)患者たちの治療に人生を捧げるサムジョク大師に、ジュンを呼び寄せるよう密かに頼み込んだのだ。サムジョク大師もかつて内医院で最優秀と目された医員だった。
大風瘡病に対する偏見と怖れを捨てきれないまま、ジュンはサムジョク大師のもとに向かう。だが、そこで目の当たりにしたのは、「大風瘡病の患者ほど苦しみあえぐ患者はいない」と彼らと寝食をともにし、みずからの命を実験台にしてまで、病を根治する薬を創ることに心血を注ぐサムジョク大師の姿。ジュンにとって教えを乞うべき師がまた一人、現れた。