韓国ドラマ【ホジュン】衝撃的な最期を迫真の演技で見せてくれたソン・ジェヒに胸が締め付けられる 28〜37話レビュー
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藤岡眞澄
そして、「民の苦痛が見えると、御医の道は遠のく」という恵民署上司の警告は的中。ジュンは病に苦しみ、自宅にまで訪ねてきた人々の診療を拒むことができず、違法診療の罪により、御医イェスから「扁額復唱の罰」を申し渡される。
宮中の中門と内医院を扁額復唱しながら1000回往復する、という苛酷な罰。ジュンは最後には這いずりながらもやり遂げる。カメラは疲労と苦痛に歪むジュンの表情をこれでもかとアップにする。
では、扁額復唱1000回とはそれほど苛酷なのか? 『小説東医宝鑑』によると、中門と内医院は100歩程度の短い距離らしい。だが、1歩60cmとして、往復すると120m。これを1000回繰り返すと120㎞!にもなる。これを一昼夜で歩いたのだから、ぶっ倒れるのも無理はない。
見届けた御医イェスは、私腹を肥やさなければ医院の診察を許す、恵民署の医員増員、内医院から左遷上司の怠慢を許さない、と宣言した。ジュンは自分の足で、御医の道への小さな一歩を刻んだ。
そして、疲労困憊して意識を失ったジュンを甲斐甲斐しく看病するイェジンの姿を目の当たりにしたジョンミョンは、イェジンがジュンを心底から慕う気持ちを察する。ジュンには勝てない、のだ。
ジュンの姿は、周囲の人々の心を動かし始めた
そのころ、王子の命を救ったことで、王の側室・恭嬪から厚い信任を得ていたドジ。恭嬪の第二子出産では、胎児が逆子で危険な状態に陥り、窮地に立たされる。だが、かつて産室庁にいた医女が繰り出す機転の利いた指示に救われ、無事の出産にこぎつける。
手柄をちゃっかり我がものとし、王の覚えめでたいドジは有頂天。素っ気なくしてきた妻にも、急にやさしくなるからわかりやすい。
それにしても、胎児の足の裏に鍼を打ってお腹に押し戻すという荒療治で難産の逆子を正常出産できるとは……。謎に満ちた治療法だ。
一方、ジュンのもとには違法診療を密告して自分を陥れた恵民署の書吏が、膿痂疹という皮膚の感染症で担ぎ込まれる。感染リスクを厭わず治療に向き合うジュン。みずからも罹患しながら、患者を快復に導き、感謝した書吏は「心を入れ替える」と約束する。
「心医たれ」という師の教えを頑なに守るジュンの姿は、周囲の人々の心を動かし始めた。雨垂れ岩をも穿つ、とはこのことだ。
そんなとき、恵民署で薬を扱う擣薬使令が生薬倉庫で自死する、という重大事件が起きる。立て続けに、校理という宮中の重要ポストに就いていたジョンミョンの親友が、目の前で急死するという不可解な出来事も起きる。しかも、急死した校理に、持病治療のための薬湯を届けていたのは自殺した擣薬使令だった。