【80歳・ひとり暮らし】ケアハウスへ転居。家じまいで「処分するもの」・「残すもの」リスト
「娘に負担をかけたくない」「自分の望む暮らしを送りたい」という一念から、家じまいを決意した池内美智子さん。愛着のある住まいを一人で片づけ、80歳でケアハウスへの転居を実現。そこには、「片づけは思いやり」という思いが息づいていました。(全3回の2回)
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>>【80歳の家じまい実例】愛着のある住まいをたたもうと思ったきっかけとは?逆転の発想で、手放すか否かの判断がスムーズに
美智子さんがまず手放したのが、サイドボードやタンスなどの収納家具だった。一般的には、先に中身を整理してから家具を手放すのが定石。しかし美智子さんいわく……。
「しまう場所がなくなれば、おのずと整理せざるをえないでしょう。だからこの順番のほうが、片づけがはかどるんです」
残すのは、普段使っている愛着のあるものだけ。高価な食器や、めったに着ないスーツは手放した。そのため娘家族が帰省した際も紙コップや紙皿で対応したのだそう。この日、帰省していた志保美さんにも話を聞いた。
「紙皿で食事が出てきたときには、『お、合理的だな』と(笑)。帰省したとき、子どもはもてなしてもらいたいわけじゃないんですよね。それより、母がゆっくりしてくれるほうがうれしい。だから紙皿でもまったく気になりませんでした」
家じまいで気になるのが、やはりお金のこと。美智子さんは業者と行政サービスを賢く使うことで、費用を抑えられたという。
「自分一人では動かせない金庫やダイニングテーブル、冷蔵庫などの大型品は、無理せず回収業者に依頼しました。費用は合計で6万5000円ほど。人に譲る約束をしていた家具も、この業者の方に少し心づけを渡したら家の外まで運んでくれて、とても助かりました」
一方で、小型の家具や布団などは、自治体の無料回収サービスを活用し、自らの手で処分した。
「大きなゴミは、大工さんが使う『道板』という長い板を廊下から庭にかけて、その上をズルズル滑らせて庭に運び出したり、木材を裁断して指定のゴミ袋に詰めたり。お金はかかりませんでしたが、体力はかなり使いました(笑)。でもそのおかげか、アップルウォッチの心肺機能の数値が上がって、疲れにくくなったんですよ」
さらに、使わなくなった貴金属や亡くなった夫が趣味で集めていた骨董品は、信頼のおける業者に売却。思いがけずまとまった金額になり、家じまいの出費を大きく補ってくれたという。
美智子さんは家じまいと同時に「墓じまい」にも着手していた。
「遠方に住んでいる娘にとっては、お墓参りに来るだけでも大変なこと。私自身、樹木葬を希望していたこともあり、夫の墓は墓じまいし、遺骨は永代供養に。同時に仏壇じまいも行いました。費用は、すべて含めて115万円ほどかかったと記憶しています」
家じまいで処分したもの、残したもの
「これからの自分」に必要のないものは潔く処分。最後に残ったのは愛着のあるものだけでした。
