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【80歳・ひとり暮らし】ケアハウスへ転居。家じまいで「処分するもの」・「残すもの」リスト

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恩田貴子

家族だから口を出さない。見守り続けた娘への思い

娘の志保美さんは、実は時間×片付けコンサルタントとして活躍する整理収納のプロ。普通なら実家の片づけに手や口を出しても不思議ではないが、志保美さんはあえて母の家じまいに口を出さなかった。

「私がアドバイスして母が動いたとしても、それは母の本心からの行動ではないと思うんです。そうすると、『本当は捨てたくなかったのに、あなたに言われたから』という気持ちがきっと残る。それは、今後の親子関係にとってよくないと思いました」

そう考えた志保美さんは「ケガだけはしないでね」と声をかけるにとどめ、見守ることに徹した。その信頼があったからこそ、美智子さんは自分の頭で考え、一つひとつのものと向き合い、納得して手放すことができた。

「娘に『ああしなさい、こうしなさい』と言われなかったのは、本当にありがたかったですね。自分のペースで、思いどおりに進めることができましたから。だから後悔が一つもないんです」

ただ、なかには手放すのに時間がかかったものも。

「いちばん時間がかかったのは、写真でした。最初に取りかかったのは、夫がまだ元気だったとき。『お父さん、もしものときはどの写真にする?』なんて話しながら、一緒に整理を始めたんです。私が『これがいいんじゃない?』と選んだ写真に対して夫は、『背広姿は嫌だ。庭にいる普段の姿がいい』と言っていましたね。夫が亡くなったあとは、一人で思い出に浸りながら、少しずつ少しずつ、整理を進めていきました」

整理した写真は、近所の葬儀社が年に一度行っている写真供養に出したという。

「お坊さんがきちんとお経をあげてくださって。ああ、これでよかったんだって、心がとても軽くなったのを覚えています」

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撮影/柴田和宣(主婦の友社)

※この記事は「ゆうゆう」2025年9月号(主婦の友社)の記事を、WEB掲載のために再編集したものです。

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