坂東玉三郎さんが語る六条御息所の嫉妬心と哀切、美しき『源氏物語』シネマ歌舞伎の魅力
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ゆうゆうtime編集部
『源氏物語 六条御息所の巻』 作品のあらすじ
時は平安の世。光源氏との子を身籠る葵の上は、謎の病に臥しています。物の怪や生霊による祟りを疑い、左大臣と北の方は比叡山の僧に修法を行わせます。すると、護摩を焚く僧が煙の中に感じ取ったのは、賤しからざる身分の女の気配...。
一方、光源氏は、美しく、品格と教養を持ち合わせた愛人・六条御息所のもとを訪れます。花見や連れ舞に興じ、久方ぶりの再会を喜ぶ二人。宮中の忙しさゆえの疎遠を詫びる光源氏でしたが、六条御息所は葵の上やその懐妊を嫉み、詰(なじ)ります。光源氏が堪えかねて屋敷を去ると、六条御息所は悲しみに暮れ、次第に嫉妬に狂って……。
【見どころ1】大河ドラマ「光る君へ」で大反響の『源氏物語』
紫式部は、970年頃、学者や歌人として活動した父・藤原為時を始め、文学に優れた一家に生まれました。父・藤原為時の影響下で、幼い頃から漢文などに親しみ、文学に類まれなる才能を発揮したため、為時は紫式部が男の子ではなかったことを嘆いたと言われています。
998年頃に藤原宣孝と結婚した紫式部は、その後、一女をもうけますが、それからほどなくして夫と死別します。『源氏物語』は、死別の悲しみを紛らわせるために書かれたと言われ、藤原道長は、その評判を聞き娘・彰子の家庭教師として紫式部を宮廷に招きました。その後、源氏物語は宮廷でブームとなり、人々を魅了しました。
『源氏物語』は約10年間かけて執筆され、世界で初めての長編恋愛小説と言われています。795首の和歌で構成され、光源氏とその子・薫を中心として約70年にわたる恋愛模様が描かれています。第一部は、光源氏の誕生から、栄華を極めるまでの三十三帖、第二部は光源氏が生涯を終えるまでの八帖、第三部は光源氏の子・薫の半生を描く十三帖です。
その後、時代を超えて多くの人々に愛読されてきた『源氏物語』は漫画、映画、ドラマなど多くの作品でモチーフとされ、時代ごとに様々な形を通して、人々を魅了してきました。中でも、昨年の大河ドラマでは、『源氏物語』誕生とあわせて紫式部の人生が描かれ、その細やかな人物描写と恋愛模様が反響を呼び、大きな話題となりました。放送が終わるたびにSNSでも感想が投稿され、ドラマの人気ぶりと共に、『源氏物語』の普遍的な魅力が改めて示されたと言っても過言ではないでしょう。
