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奇跡の91歳・推しは大谷翔平!「日本人であることは昔も今も私の誇りです」【カオリ・ナラ・ターナーさんのターニングポイント#3】

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佐藤望美

ハリウッドで活躍したメイクアップ・アーティストのカオリ・ナラ・ターナーさんは現在91歳。アメリカで60年以上暮らしてきましたが、「日本人としての誇りを忘れたことはない」と言います。インタビュー第3回では、異国の地での挑戦から大谷翔平選手を応援する日常まで、詳しく伺いました。

日本人らしい気遣いは、ハリウッドで大きな武器になりました

―カオリさんはハリウッド映画やテレビドラマのメイクアップを手掛け、日本人初となるエミー賞も受賞するなど40年以上も第一線で活躍されてきました。

もちろん技術を磨くための努力は惜しみませんでしたが、長く続けるためには技術より人間性が大事だったなと今振り返ってみて思います。人を喜ばせたい、笑わせたい。「自分がして欲しいことを相手にしてあげなさい」と小さい頃から両親に言われてきたことを、ハリウッドでも実践してきたんです。

ブルース・ウィルスにおむすびを差し入れ。日本を背負っている気持ちは常にありました

―アメリカでは、ロンゼルス・ディズニーランドで5年連続ジャパンフェスティバルを開催したり、大衆演劇スター・松井誠さんのロサンゼルス公演を手掛けたりと、日本文化の普及に大きく貢献されました。2006年には旭日双光章も受賞されています。

メイクアップのユニオン(労働組合)に所属していた日本人は長らく私ひとり。私の行動=日本人と思われると背筋が伸びる思いでした。日本を背負っているような感覚です。自然といい子になっていたかもしれません(笑)。

でも、日本人だというプライドは常に持っていました。ショーン・コネリー主演の映画『ライジング・サン』では、おかしな着物の着付けに黙っていられなくて、衣装室に通って連日着物の着付けを教えたこともあります。思えば、メイク以外のことでも周囲からたくさん評価していただきましたね。

そうそう、食事係にお米の炊き方も教えましたよ!映画撮影の現場ではランチが用意されていて、出演者もスタッフも一緒に食事します。豪華なんだけど、私はシンプルなおむすびが食べたくて、よく持参していました。そうしたら、みんなから「ちょうだい、ちょうだい」って。毎朝たくさんつくるのはあまりに大変だったから、食事係にお米の炊き方を教えておむすびの作り方を教えたんです。

カオリ・ナラ・ターナー ヘアメイクアップアーティスト 

大勢のプロフェッショナルが協働する、ハリウッドの現場。

―カオリさんがハリウッドにおむすびを広めたんですね!

「日本式のご飯が炊けるといえば仕事のオファーがたくさんくる!」とその食事係からも感謝されましたよ。その後は食事台に電気釜が3台も並びましたね(笑)。ブルース・ウィルスもおむすびが大好きで、鰹節を醤油で味つけした玄米おむすびをよく差し入れました。

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