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30㎝の隙間で始める!極小スペースでの【バラ】ガーデニング術

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吉原美奈子

30㎝の隙間で始める!極小スペースでの【バラ】ガーデニング術

軒下の壁をコンパクトに這わせたい時は‘ジュード ジ オブスキュア’がおすすめ。雨が苦手ですが、大輪で香りが素晴らしく1株で人目を惹きます。

バラは広い庭でのびのびと育てるべきと思っている方は多いと思います。もちろんその通りですが、狭い場所、いえ数10㎝の隙間でも工夫次第でバラを育てることは可能です。無理だとあきらめていたスペースをバラで彩ってみませんか。

30㎝の隙間で始める!極小スペースでの【バラ】ガーデニング術(画像2)

無農薬、ローメンテナンスで知られるノックアウトシリーズの‘サニーノックアウト’。やさしい花色で草花との相性もよいのが特長です。

30㎝四方のスペースを見つけよう

バラは日照が十分で、風通しがよく、栄養分の豊富な土壌でよく育ちます。
間を十分にとって植えれば病気にもかかりにくく、広い場所に植えるにこしたことはありません。

しかし、上の条件を厳密にチェックしてみるとどうしても必要なのは日照で、風通しは外気に面していればなんとかなりますし、土壌は古い土を掘り捨ててよい培養土を入れてやればいいだけのことです。

また、これまでの記事の中で何度も、バラは鉢植えでも十分にきれいな花を咲かせることをお伝えしてきました。
成木になっても鉢のサイズは8号鉢程度でOKですから、30㎝ほどのスペースがあれば問題がないといえます。

30㎝の隙間で始める!極小スペースでの【バラ】ガーデニング術(画像3)

コンパクトなポリアンサローズの‘アンヌ マリ モントラベル’。清楚な白のカップ咲で、小さな場所をナチュラルに演出したい時にぴったりです。(筆者撮影)

たとえば家の前の道路際に幅と奥行きが30㎝以上のスペースはありませんか?
向きは東南と南がベストですが東や南西でも育ちますし、黒星病への耐性のある花付きのよい品種であれば北東でもなんとか大丈夫です。

こうしたスペースが見つかったら、建物の壁を背景にし、レンガブロックなどを積み重ねて深さ最低30㎝ほどのレイズドベッド(植えマス)を作りましょう。

レイズドベッドの深さはバランスを考えて決めますが、深くなるほど培養土が多く必要になります。
深すぎる場合は下にレンガなどを隙間ができるように交互に組み入れてスペースを埋めてから、赤玉土の中粒とバラ専用培養土を入れるとよいでしょう。

レイズドベッドのレンガはモルタルで固定すれば道路側に崩れる心配はありません。
固定しない場合は低めに作り、道路から奥まったラインに積み上げるようにします。

30㎝の隙間で始める!極小スペースでの【バラ】ガーデニング術(画像4)

マンションの道路際、土がほとんどない場所にキモッコウバラを植え、壁を上に這わせるアイディア。ひもを縦に渡しているところが独創的です。(筆者撮影)

バラは樹形と伸長のタイプを見極めて

植えるバラは株立ちのブッシュローズであれば、が上に伸びる直立性を選びます。
シュラブローズはが四方に広がりがちなので道路側に伸びすぎる心配があります。

大きすぎて極小スペースには不向きと思われるつる性のバラですが、背後の壁を手掛かりとしてを伸ばしてやるとよい具合に収まって素敵なシーンを作ります。

壁には目立たないようにビスを打込み、壁を傷つけたくない場合は外壁に貼れるフックなどを用いて、伸びてくるを這わせましょう。

つるバラはランブラー系などの長く伸びる種類ではなく、ショートクライマーと呼ばれるバラが適しています。
また、シュラブローズもつるバラのようにを伸ばして這わせるとボリュームを抑えられます。

30㎝の隙間で始める!極小スペースでの【バラ】ガーデニング術(画像5)

伸長1~2mとコンパクトな‘ローブリッター’。株の寿命がとても長く、しかも一度誘引したら、し直しの必要があまりないため管理がラクです。

レイズドベッドとは、木枠やブロックなどで囲って、地面より高く土を盛った花壇のことです。水はけがよく、土の管理がしやすいため、植物の育ちもよくなります。高さがあるため、ひざまずかなくても作業ができるところもメリットです。

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シュラブとは、ガーデニングでよく用いられる低木の総称です。生長が安定し、剪定によって形を整えやすいことから、庭や花壇の基盤となる植栽として重宝されています。バラの一種のシュラブローズも有名で、初心者から上級者まで幅広く愛されています。また、季節ごとの景観を楽しめる落葉樹や常緑樹があり、生育環境やデザインに応じて選べるのも魅力的です。

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赤玉土とは、関東地方の火山灰土壌から採取される粒状の土で、園芸用の培養土として広く使用されます。通気性と保水性、排水性のバランスがよく、単独で使用することも他の土と混ぜて使用することもできます。粒の大きさにより小粒・中粒・大粒に分類され、植物の種類や用途に応じて選ぶことができます。

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株立ちとは、一本の太い幹ではなく、根元から複数の幹が立ち上がる樹形を指します。自然な風合いが魅力で、雑木風の庭づくりに向いており、庭木としても人気です。代表的な植物にはアオダモやシマトネリコなどがあります。

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培養土とは、植物を育てるために使う土のことです。数種類の土がブレンドされた市販の培養土は、通気性、保水性、排水性、養分のバランスがよく、初心者でも失敗なく植物を育てられます。植物の種類(花、野菜、多肉植物など)ごとに専用の培養土も市販されています。

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開花とは、植物がつぼみから花を咲かせる現象を指し、植物のライフサイクルの中で繁殖を目的とした重要な段階です。開花には品種ごとの遺伝的要因に加え、温度・日照・水分・肥料などの栽培環境が大きく関係しています。開花の時期や条件を正しく理解することは、ガーデニングにおいて花を美しく咲かせるための基礎知識の一つとなります。

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株元とは、植物の茎が地面と接するあたり、根元の部分を指す言葉で、水やりやマルチング、病害虫の発生チェックなど園芸作業の上で注目すべき場所です。特に多年草や樹木では、株元の通気性や湿度が健康維持に大きく関係し、落ち葉や腐葉土のたまり過ぎによって蒸れたり、カビが発生するリスクもあるため注意が必要です。冬越しや剪定後の管理でもポイントになる場所です。

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成木とは、植えつけから数年が経過し、十分に生長して実をつけたり、花を咲かせることができるようになった樹木のことを指します。例えば果樹園で見られるリンゴやモモの木も、成木になれば毎年安定して収穫が期待できます。成木になるまでの管理が重要で、剪定や害虫対策、肥料など細やかなケアが必要です。ガーデニングにおいては、この段階になれば見栄えもよく、大いに楽しむことができます。

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品種とは、ある植物の中で、花の色や形、実の大きさなどの性質が、明らかに他の植物と異なる栽培植物のことです。園芸品種や栽培品種の略称です。

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株とは、地面から芽を出して生長している植物の基本単位を意味し、特に多年草や野菜苗などでよく用いられます。例えば「このラベンダーは大株に育った」といったように、株の大きさや状態は植物の生育具合を示す指標にもなります。ガーデニングでは株分けや株の更新、株元の管理など、長期的な育成を考えるうえで頻出する概念です。

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枝とは、植物の幹や主軸から分かれて伸びる部分で、葉や花、果実をつける役割があります。枝の生え方や配置によって光の取り込み方や風通し、樹形が左右されるため、剪定や誘引を通じて理想的な姿に整えることがガーデニングでは大切になります。

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