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俳優・多部未華子「台本を読んだ時は信じがたかった」――新ドラマ『シャドウワーク』シリアスな作品の舞台裏は?

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ゆうゆうtime編集部

WOWOW「連続ドラマW シャドウワーク」(11月23日放送・配信開始)で、DV被害に苦しむ主婦・紀子を演じる多部未華子さん。これまで数多くの女性像を演じてきた彼女が、本作で挑んだのは「静かに闘う」女性。シリアスなテーマながら、撮影現場は意外にも笑いの絶えない時間だったといいます。作品への思い、そして現場で感じた“女性たちの強さ”について聞きました。

台本を読んだ感想は「本当にこんな現実があるの?」

―原作『シャドウワーク』を読んで、どんな印象を持たれましたか?

1人の女性が、自分の力で人生を切り開いていく物語に強く共感しました。ただ同時に、「本当にこんなことがあるのだろうか?」という戸惑いもあって。夫から抑圧され、季節の移り変わりさえわからなくなるほど自分を責めてしまう――そんな状況は、想像を超えていました。

―役作りのためにDV被害について調べたり、話を聞いたりされたのでしょうか?

私の周りにはそうした経験を持つ方はいなくて……。体験談を語るようなブログなども少ないですよね。「隠すもの」「思い出したくないもの」という印象が強く、結局は自分の想像力で演じるしかありませんでした。
でも現場で話していく中で「知り合いがそうだった」という話を聞くこともありました。
一見穏やかで優しい夫が、実は…というケースが身近にもあるのだと知り、胸が痛くなりました。

「点々」で語られる心の揺れ

―演じる上で特に工夫された点は?

台本には「……」が本当に多いんです。紀子は言葉よりも“沈黙”で心情を伝える人。だから、言葉の間にある感情や気づきや悟り、相手の気持ちへの寄り添いなどを丁寧に表現することを意識しました。
作品の完成版はまだ見ていませんが、「……」で語られる紀子の思いが、ちゃんと伝わるといいなと思います。

―セリフが少ないぶん、表情や目線にも注目ですね。

監督や撮影カメラマンさんたちと「もう少し目線を上げた方が強く見えるかも」など、細かく話し合いました。作品自体はシリアスですが、現場は非常に話しやすいムードで、私も監督にも気軽に「この方が伝わりやすいですか?」といろいろと相談できました。そういう風通しの良さが、役づくりをすごく助けてくれたと思います。

シリアスな物語だけど、現場は「めちゃくちゃ明るい!」

―重いテーマの作品ですが、現場の雰囲気はいかがでしたか?

最初は「静かな現場になるだろう」と思っていたんです。でも、ふたを開けてみたらまったく逆で(笑)。意外と明るい現場でした。ロケ現場でも、みんなでどうでもいい話をして笑ってばかり。作品の内容は重くても、撮影中は本当に楽しかったです。

―座長としてのプレッシャーはありましたか?

特に「私が座長です!」というひっぱっていく感じではなくて。あ、でも正直いつもないのですが(笑)。むしろ、シェアハウスで暮らす女性たちそれぞれの物語がある群像劇のようなとらえ方をしていましたね。私自身も“紀子の目線で見守る一人”という感覚でした。

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