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抹茶人気で注目!持ち運び便利な山中漆器の茶箱「chabako」開発ストーリー

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ゆうゆうtime編集部

「茶箱」とは、茶道の道具一式を収めたミニマルな箱。その「茶箱」界に誕生した画期的な新作がある。
すべて漆器でできた「chabako」だ。
石川県の伝統ある山中漆器と新進の茶道家のコラボが生んだ逸品。
デザイン性の高い山中漆器を手掛ける「我戸(がと)幹男商店」の4代目・我戸正幸さんと、茶道家・石川恭子さんに、美しき漆黒の「chabako」誕生までのストーリーを編集者・依田が聞いた。

一人の茶道家の情熱が動かした、運命のコラボ

――今回、斬新な「chabako」が誕生したきっかけは何だったのでしょう?
我戸正幸(以下、我戸) 以前から親交のあった茶道家の石川恭子さんから、ご提案をいただいたのです。

――石川さんがオリジナルの「茶箱」企画を持ちかけたのですね?
石川恭子(以下、石川)  はい、35年以上、茶道を学ぶ中で出合った「茶箱」のとりこになった私は、もっと広くその存在を知ってほしい、と思うようになりました。今の時代にマッチした茶箱があれば、より多くの人にその魅力が伝わるのでは?と考え、オリジナル茶箱のイメージを膨らませていました。

――すべて漆器で作る、という発想はどこからですか?
石川 世の中に「茶箱」はいろいろありますが、旅行などにも安心して持ち歩ける、軽くて割れにくいものがあればいいのに、と思ったのです。

――数ある漆器ブランドの中で「我戸幹男商店」とコラボしようと思ったわけは?
石川 クオリティとスタイリッシュさを兼ね備えた、どこにもない茶箱を作りたかったからです。

――国内外の高名なデザインアワードをいくつも受賞している「我戸幹男商店」。お話を持ち込んだ時の我戸社長の反応はいかがでしたか?
石川 2年程前、私が茶箱の見本を持って伺ったときに、初めて茶箱というものをご覧になったそうで「こんなのがあるんだね。すごい」と驚かれていました。

――「我戸幹男商店」は、茶道具を得意とされているのですか?
我戸 商品のひとつとして棗(なつめ)を作ったことはありますが、茶道具専門ではないので、石川さんには「山中漆器の中でも茶道具を扱っているところに行った方がいいのでは?」と申し上げました。

――それでも、石川さんの決意は変わらなかった。
石川 私の中では「我戸幹男商店」とのコラボ一択でした。そこで、まず「茶箱」を知っていただくために、我戸社長とデザイナーの方を東京の自宅の茶室にお招きして茶箱点前を披露しました。その女性デザイナーさんは表千家の茶道を習っていらっしゃるのですが、表千家には茶箱点前がないので、とても興味を持ってくださいました。

――我戸さんはいかがでしたか?
我戸 世の中は今、抹茶ブームなので、実は参入しようかなと思っていたタイミングではあったんです。元々手掛けていた棗のリデザインをデザイナーと話をしていたときに、石川さんからお話があって。

――そうだったんですね⁉ 引き寄せたんでしょうか?
石川 これは、もう宿命ですね(笑)。

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