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60代で選んだ終の住処。50㎡・1LDKの平屋に施した「90代になっても自立生活が送れる」工夫とは?

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ゆうゆう編集部

人生の後半戦、“自分サイズ"を見直して、シンプルかつコンパクトに暮らし替えをされた方を紹介する「小さい暮らし」の見本帖。今回、登場いただくのは、作家のこかじさらさん。両親の介護のためにUターン移住し、怒涛の日々を経て、自身の老後を見据えた小さな住まいを新築しました。

Profile

こかじさらさん
作家。1958年千葉県生まれ。長く出版社に勤務し、編集者として多くの書籍を手がける。マラソン指南書の編集を機に国内外のフルマラソン大会に参加するようになり、その経験を生かした『アレー! 行け、ニッポンの女たち』(講談社)で2016 年に作家デビュー。

両親+叔母夫婦に 翻弄されるやっかいな毎日

玄関を入ると生活空間のほぼすべてに目が届く、1LDK・約50平方メートルの住まい。生まれ育った千葉県・房総半島の街に、こかじさらさんは老後を見据えたコンパクトな平屋を新築した。

作家デビュー前の会社員時代は、「盆や正月に帰省もせず、海外旅行へ行きまくるという生活を送っていた」とか。書籍編集者として、レシピ本、タレントエッセイ、ビジネス新書と、さまざまなジャンルの書籍を世に送り出し、40年以上にわたって東京暮らしを謳歌してきた。

60歳を迎えたタイミングで、“最後の親孝行”かつ“娘の任務”として、日常生活がおぼつかなくなってきた80代後半の両親との同居を決断。都内から千葉県の実家へUターンした。神経質で気が短い父と、何かと対抗意識を燃やして心ない言葉で傷つけてくる母。そんな両親の世話に加えて、子どものいない叔母夫婦の施設探しや家じまいにも奔走することになり、「想像以上のやっかいな現実とストレスに悩まされる毎日が待っていました」。

こかじさんはその怒涛の日々を著書『実際に介護した人は葬式では泣かない』にしたため、多くの介護経験者から共感を得る。壮絶な介護体験から生まれたものがもうひとつ。それが、自身が90代になっても自立生活が送れるように工夫を凝らしたこちらの住まい。父と叔父を見送ったのち、母と叔母は施設へ。落ち着いた日々を取り戻したことから、父が遺してくれた実家近くの土地で家づくりに着手した。

「スーパーなどが徒歩圏にあり、将来、運転免許証を返納したあとの生活にも困らない立地ということも決め手になりました。ここに自分の人生の集大成として、これまでの経験や価値観を形にした家を建てたいと考えたんです」

東京では文京区に住んでいたこかじさん。
「ジョギング中に黒壁のお屋敷をよく目にして、家を建てるときは黒系にしようと妄想していたんです」

実家は二世帯住宅風のつくりで広いため、高額な減築工事をするよりコンパクトな家を一から建てることを選んだ。

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