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南仏の片田舎でアンティーク店を営む69歳。魔女の館のような中世の家で語る「修復とは、家の魂を尊重すること」

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Office Boulot-dodo

南仏の片田舎でアンティーク店を営む69歳。魔女の館のような中世の家で語る「修復とは、家の魂を尊重すること」

実際の食卓のようなディスプレイ。アンティークは、すべてが一期一会の世界。「商品との出会いを大切にしています」

南フランスの田舎でアンティークショップを営む69歳、クリスティーヌ・カーズさんが暮らすのは、20年かけて手入れしてきた中世の元商家。好きなものに囲まれ、暮らしと仕事がとけあうその空間には、物との向き合い方——そして、人生との向き合い方が宿っていました。第2回は、中世の元商家の様子を、パリに住む日本人ライターがお届けします。

▼前回はコチラ▼

>>子育て後に夢を実現。南仏の小さな村で現役、69歳アンティーク商が語る「人間に本当に必要なものは、実はとても少ない」

400㎡の中世の家で磨かれる美意識

「Entre Cour et Jardin」
クリスティーヌさんのお店の名前は、フランス語で「中庭と庭のあいだ」を意味します。この店名は、建物の構造から自然に生まれたもの。

クリスティーヌさんの家には、2つの入口があります。ひとつは小路に面した中庭に、もうひとつは広場に面した庭側に。どちらからでも訪ねることができる、そのオープンな在り方が、この店の精神そのものを表しているようです。

2階建て+屋根裏部屋、約400㎡と聞くと、ひとりでふつうに暮らすには持て余すように感じてしまいますが、買いつけた品々を保管し、洗い、修復する、アンティーク商の仕事がら、必要な広さです。

まるで自宅に招かれたような商品のディスプレイなので、居住空間と店舗が一体化しているように思われますが、実際はプライベートなスペースと仕事場、店舗はきちんと分かれています。

ただ、流れる空気は同じ。暮らしと仕事がとけあって、ひとつの世界をつくっています。

南仏の片田舎でアンティーク店を営む69歳。魔女の館のような中世の家で語る「修復とは、家の魂を尊重すること」(画像2)

冬枯れの木の枝、ボードに書かれた文字、絶妙に古びた郵便受け……1枚の絵のようなお店の入り口。

家の「魂」を尊重する修復

この家の好きなところはどこですか?と尋ねると、
「たくさんあるけど、古い家には、その家固有の個性と運命があって、それをとても強く感じるところ。元々が商人の家だからかもしれないけど、ここにこうディスプレイしたら良いんじゃない?というアイデアも浮かびやすいの」

家のリフォームや修復という作業も、クリスティーヌさんにとっては特別な意味を持ちます。

「修復するとは、その家の魂とアイデンティティを尊重すること」と彼女は言います。傷んでいた中世の商家を、20年かけて少しずつ手入れしてきたその積み重ねが、今のこの良い魔法使いの館のような、素敵な空間につながったのですね。

そして、とりわけ彼女の心を捉えて離さないのが、玄関扉についた鉄のハート型の装飾です。

「ハート型なんて、珍しいでしょう?若い鍛冶屋が恋をしながら打ち込んだのかもしれないな、とつい想像してしまいます。時を経た家だから、過去にここに暮らしたり関わった人たちの物語を想像するのも楽しいものですよ」

アンティーク商としても、彼女が惹かれるのは、そうした「作り手の息吹」が宿るもの。なかでも、アール・ポピュレール(民衆芸術)と呼ばれる素朴な工芸品への愛が深いと言います。

「素朴な素材を、想像力と職人の手仕事で美しく、かわいらしく、そして使いやすく昇華させた品々。そこに流れる職人の心意気が見えるものが私は大好き」

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