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【猫の実話】「何事もほどほどがいちばん」そう教えてくれたのは、うちの猫

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ゆうゆうtime編集部

私はイラストを描く仕事をしていて、前述のように、こだわりが強いタイプだった。
たとえば、イラストの仕事。クライアントが気づかないようなミリ単位の線にまでこだわってしまい、その調整だけで一日終わってしまうこともあった。

ひとつのことを納得いくまで突き詰めなくては気がすまない。自分のすべての能力を、そこに集中させてしまうのだ。それが功を奏することもあったが、仕事の効率は上がらないし、常に肩肘を張っているので、とても疲れてしまう。

自宅のインテリアも同様で、デザインや色味にかなりのこだわりを持っていた。
配置も、家具が映える位置を考えてセッティングし、少しでもずれると気になってしかたない。潔癖の気もあるので、ホコリが落ちているのも許せない。
自分を気持ちよくするためのこだわりなので有意義だと思っていたけれど、仕事同様、そういった生活に疲れている自分にうっすら気づいていたと思う。

そしてこだわりが強い分、イライラすることも多かった。
夫が物を片づけてくれなかったり、部屋が汚れていたり、思ったイラストが描けなかったりすると、ナーバスになりがちでイライラが抑えられないのだ。

ところが、とらじろうが来て生活が一変した。
彼は聞き分けがいいが、遊びたいときには私が仕事中でもかまわず、「ニャッホー」と声をかけてくる。ついそちらを見てしまい、集中力が途切れる。
さらに、とらじろうから声をかけられなくても、ふと「何をしているのかな」と彼の様子が気になってしまい、見に行ってしまう。
集中が途切れる、気をとられるというとマイナスなイメージだが、こだわりが強すぎる私には、いい気分転換になるのだ。

インテリアに対しても、意識が大きく変わった。
猫を飼っている方ならご存じだろうが、猫は換毛期でなくても毛が抜ける。どんなに掃除をしても毛はふわふわ漂っているし、ソファや洋服にもくっつく。

遊び回るとらじろうのおかげで、フローリングやソファにも傷がついている。いつだってきれいにピカピカにしておく、というわけにはいかなくなった。
何より、とらじろうの安全を優先したため、インテリアの細かい配置にこだわることもなくなった。とらじろうがぶつかってケガをするほうがイヤだった。

そうして変わった生活は、予想もしない快適さだった。
仕事は根を詰めすぎず、息抜きも適度に。インテリアも完璧じゃなくても、私たち夫婦ととらじろうが心地よく暮らせれば問題ない。

イライラもだいぶ減った。イラッとしたり落ち込んだりと、感情がマイナスに波打つことは今でもあるが、そういうとき、とらじろうは察しが早い。「どうしたの?」というような顔で私をじっと見てくる。とらじろうの怪訝そうな顔に気づいてハッと我に返り、深呼吸をするようになった。これだけでだいぶイライラも落ち込みも解消できる。

そんなふうに「何事もほどほどがいちばん」と思えるようになったのは、とらじろうのおかげだ。私は今、そんな生活がとても楽しい。

とらじろうと暮らすことで、「ありのままの自分」が見えてきた。そして、そういう自分を素直に受け止められるようになり、「がんばりすぎない」「ほどほど」が気持ちいいことに気づいたのだ。
コロナ禍を経験した今だからこそ、マイナスな気分を持続させず、「がんばりすぎないこと」をよしとして生きる意味は大きいと思う。

いろいろな気づきを与えてくれたとらじろうに感謝しつつ、2人と1匹で楽しく、ほどほどに暮らしていきたい。

※この記事は『猫がいてくれるから』主婦の友社編(主婦の友社)の内容をWeb掲載のため再編集しています。

※2023年7月13日に配信した記事を再編集しています。

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